かつての人気自動車「ビート」の再来とも言われるミッドシップスポーツカーS660が発売されました。発売初日に初期ロット分はほぼ完売、4月16日〜22日の注文を逃すと来年まで納車を待たなければならないほどの人気です。 ※最新の納車状況は公式サイトを御覧ください では、ホンダS660のいったい何が魅力的なのでしょうか。今回編集部は3つの要素に分けて紹介します。
目次
1.ビートの再来?
大観山で出会ったビート乗りの方に声をかけ、ホンダファン涙のツーショットが取れました! #S660 pic.twitter.com/MzJ3A1KEXL
— みどりん (@kaz3099) 2015, 4月 12
ビートとは1991年に販売が開始され、1996年に生産が終了したS660のご先祖様のようなクルマです。19年前の軽のスポーツカーというのはこのビートの事を指します。
ホンダS660欲しいなぁ(^ ^) ビートが出た時は、まだ免許持ってなかったから、先に免許取った友達に頼んで一緒に試乗会行ったなぁ(^ ^) pic.twitter.com/QdnUIV3l1H
— THE READMAN FACTORY (@23Ankake) 2015, 4月 8
S660はビート登場時に青春時代を過ごした人々の心をガッツリ掴んでいるようです。
『新しいビートが出たので休暇をください』懐かしいですね! 先週『S660が発表されたのでフレックスします!』って言いました…。 “@silvercopen: @PP1_NC35_AB12 こんな感じですね。 pic.twitter.com/oPadhkIObw
— 駱駝やん@NC35 (@PP1_NC35_AB12) 2015, 4月 4
ホンダ・ビートとは ビート(Beat)は、本田技研工業がかつて生産、販売していたオープン2シーターの軽自動車である。 量産車として世界初のミッドシップでフルオープンモノコックボディである。サスペンションは四輪独立懸架のストラット式で、軽自動車としては初めて四輪ディスクブレーキ、SRSエアバッグ、サイドインパクトビームを採用した。 駆動方式がMRということもあり、タイヤは前13インチ、後14インチと前後が異なるサイズを採用した。駆動輪である後輪のブレーキディスクは、当時のプレリュードのものが流用されていた。パワーステアリングは装備されておらず、ハンドル回転時の遊びも少ない。オートバイのような特徴的なメーターパネルを採用している。 Wikipediaより
2.走りを楽しむために作られたクルマ
ホンダ行ってS660見てきた! これかっこいいね!しかも作り込みが凄いっす! pic.twitter.com/kZ9mHn65Rh
— TAKUMI IMAI (@TAKUMI_CRAFT) 2015, 4月 8
S660がどんなクルマなのかを一言で表せば、走りを楽しむためのクルマなのではないでしょうか。ここからは具体的に何が「走りを楽しむため」の工夫として作られているのかを紹介します。
1.S660のために新設計されたエンジン
Photo by Hondaホームページ 人間で言う心臓、それは車のエンジンです。 S660の心臓は、低速〜中速で力強さを誇る高速回転型直列3気筒・DOHCターボエンジン【S07A型】の基本設計を受け継いだモデルになります。新設計されたターボチャージャーがドライバーのアクセルワークに素早く応えます。
S660楽しかった。もはやクルマに乗るというより着る感じ(笑)。小さくても全てが本格。小さいステアリングが絶妙に重くてこれがやる気にさせてくれる!気持ちよく加速してブローバルブの音が後ろからするのも楽しい。MTも乗ってみたかったな。 pic.twitter.com/N4uBkLdUtu
— Kohei (@citroen4) 2015, 4月 13
特に、このエンジンはスポーツカーに必要なアクセルを軽く踏み込んだ時のレスポンス性を重視ししています。驚くべきは、エンジンのパワーを素早く推進力に変える経とは思えない気持ちよさ。 また、軽自動車としての排気量の低さを補うため軽量化も徹底。ベアリングハウジングやタービンの小型化で従来型よりも12%の軽量化に成功しています。
2.軽自動車初の6速変速ギア搭載
@sakuya118 →続き)たぶん、それがS660の一番の売りかな?と。 『けっして速くはないけど、運転が楽しい車』な感じ。 アクセルを踏む・ギアを変える・ステアリングを切る・ブレーキを踏む。 そういう基本的な操縦を楽しめそうな印象ですね(*´ω`*)
— ntr_2013 (@ntr_2013) 2015, 3月 21
ギアはATとMTの両方がラインナップ。ビートがMTのみだったのと比べると時代の変化を感じます。 ATの方が確かに運転は楽ですが、やはり走りの機微を味わうという点では、MTの方が優れているのではないでしょうか。坂道発進時に後退するのを防ぐヒルターアシスト機能が付いているので、あの発信前のドキッとする後退ともおさらばできます。 また、軽自動車として初めての6速トランスミッションを導入(ビートは5速まででした)。これもまた走る楽しさを倍増してくれる憎い機能です。 6速では特に、100km/h以上での静粛性に優れており、よりスポーティな走りを楽しむことができます。
3. スポーツモード
まるでMT贔屓の書き方をしてしまいましたが、ATにしかない魅力もあります。それはスポーツモードです。 モードチェンジは男性の永遠の憧れ、マッハ号のステアリングパッドにあるスイッチを押す気分を味わえます(スイッチは1つしかありませんが)。 スポーツモードのスイッチをONにすると、よりアクセルペダルのリアクションが良くなります。変速制御装置を変更することでエンジンの回転数を車速に素早く変換できるようになります。 ただし、燃費は悪くなります。 一方、スポーツモードのスイッチを切ったデフォルトモードはより市街地など、発進と停止が多い道路向きです。
4. 軽自動車初!アジャイルハンドリングアシスト
S660に乗ってみて、まず出足が良い。これは先代のビートよりもパワフル。ハンドリングも軽快でクルクル回る。シャーシはカッチリしててブレる事もない。足回りもしっかり追従する。軽の枠内でスポーティさを限界まで出し切った感じで非常に良い。欲しい。
— 38年式ぱらやん絵のお仕事募集中 (@parayan) 2015, 4月 14
あぁ〜…今になってまたS660がジワジワ来る。。。 タイトでゴーカート並なアイポイントにリアから聴こえるエンジンサラウンド。 小径ハンドルから伝わるダイレクトなハンドリング。 これ、心奪われたやつだ。
— 平松勇気 (@hirayu0808) 2015, 4月 6
かつて、ハンドルを切ると言えば腕力が必要なものでした。 軽自動車にパワーステアリングが実装され始めたのは2000年を過ぎた頃からでした。それから10年以上が経過し、パワーステアリングはさらに進化、S660では軽自動車で初めて「アジャイルハンドリングアシスト」が搭載されました。 アジャイルハンドリングアシストとは、ブレーキを自動制御で調整し、旋回に入る際のレスポンスを良くしたり、狙い通りのラインを狙いやすくするようサポートしてくれるシステムです。
3.20代の開発責任者
ホンダS660の開発責任者、椋本氏は入社8年目で26歳。高卒18歳でホンダに入社し、4年目の時の創立50周年記念の社内コンペでのアイデア。近年業績は厳しいが、ホンダって素晴らしい会社だよね。 pic.twitter.com/RG2tVx4N9U
— t_multibook (@t_multibook) 2015, 3月 31
かつてホンダと言えば挑戦者のイメージでした。スーパーカブに始まる超ロングヒットバイクを発売したかと思えば、F1参戦からの4輪車市場への参入。一昔前はASIMOなどの先端技術にも取り組む企業でしたが、最近はめっきりおとなしい車ばかり夜に送り出していました。 そんな中、久しぶりにホンダらしいと言えるクルマとして世に出てきたのがS660です。 驚くべきはこのホンダらしい車の開発責任者が20代の若者であるということです。3万点に及ぶパーツを組み合わせて完成させるクルマは並みの経験では作ることができません。通常は40〜50代のベテランが開発責任者をつとめます。しかしS660の開発責任者は1988年生まれの26歳椋本陵(むくもと りょう)氏がつとめました。
本田宗一郎の伝記を読んでホンダを志した若者
S660の開発責任者である椋本氏は小学生の時に読んだ本田宗一郎の伝記に感銘を受けホンダで働くことを志しました。高校を卒業し、モデラーとして本田技術研究所に入社。 確かに椋本氏はまだ若いかもしれませんが、その人生にはしっかりとホンダのDNAが刻まれているといえるのではないでしょうか。
開発の想い
S660を通じて届けたい思いについて椋本氏はインタビューで
「一番届けたいと思っているのは、スポーツカーのある楽しい暮らし」
であると語っています。 それは、かつてのホンダが若い人たちに積極的に選ばれるブランドであったから。その時に椋本氏が感じていたホンダの魅力を再定義したのがS660の根幹にあるそうです。
「今あらためて、自分たちの世代が欲しいと思えるクルマを作ろうぜ」という、中身はないけど思いはMAXな企画書を出してみたんです。
そんな車愛に満ちた開発責任者だからこそ、これだけのこだわりが詰まったクルマを開発することができたのではないでしょうか。 「痛快ハンドリングマシーン」 Photo by Hondaホームページ 確かに、S660は他の一般大衆車と比べるとお世辞にも便利なクルマであるとは言えません。燃費が良かったり、積載量が大きかったり、もっとスピードが出るクルマはもっとたくさんあります。 しかし、それでもなお、S660は魅力的に見えます。 それはきっと、クルマの本質的な楽しさである 「走る楽しさ」 と正面から向き合っているからなのではないでしょうか。 やっと取り戻し始めたホンダの魅力。これからのホンダの活躍に期待です。
画像出典 ・ホンダ公式サイト ・産経新聞Youtube