トヨタルーミー!アクアよりも最も売れているコンパクトカー!

     
   

2019年9月の自動車販売台数ランキングでトヨタ「ルーミー」は第8位を獲得しました。

 

月間販売台数は9046台、前年同月比125.0%という好成績です。

 

ただし、ルーミーは同じトヨタのプリウスやアクアに比べると、ハイブリッドモデルもなくどちらかというと地味で、華やかさに欠けている車といわれています。

 

ところが「ルーミー」は同じトヨタの兄弟車である「タンク」との合計では、2017年はアクアやシエンタを上回る販売台数を達成しています。

 

表向きにはほとんど話題になりませんが実はルーミーは「2017年トヨタで最も売れたコンパクトカー」という異名がある車なのです。

 

ではユーザーは一体の「ルーミー」のどこに惹かれて購入しているのでしょうか?

 

今回はトヨタルーミー2016年モデル(初代)についてわかりやすくご紹介します。

 

※自動車販売台数ランキングは日本自動車販売協会連合会の統計による。

 

ルーミーのカテゴリー ルーミーはコンパクトトールワゴン!

ルーミーのカテゴリーはリッターコンパクトカー(排気量1L 以内 5ナンバー車)です。

 

さらにリッターコンパクトカーの中の「トールワゴン」「ハイトワゴン」といった小カテゴリーの車です。

 

「トールワゴン」「ハイトワゴン」の呼び方の違いは、各自動車メーカーで異なる名称がついているだけで意味はどちらも同じです。

 

トヨタでは「トールワゴン」と呼んでおり、一般的に車高1,550 mm超、2列シートハッチバック、荷室容積が大きいなどの特徴があります。

 

また全高が高くリアドアがスライドドアの車を「ハイトワゴン」、全高が高くリアドアがヒンジドア(片側に蝶番があり開くドア)の車を「トールワゴン」ともいわれています。

 

ただし、どちらかというと「ハイトワゴン」の名称の方が一般的には浸透しています。

 

ルーミーのボディデザイン 「トールワゴン」と「1LD-CAR」を融合したデザイン!

 

ルーミーのボディデザインの特徴は「トールワゴン」と「1LD-CAR」の特徴を融合したボディデザインに仕上がっています。

 

「1LD-CAR」とは「Living」と「Driving」をクロスさせた造語です。

 

「広々とした空間」と「安定した走行性」という2つの機能を、一つの車の中に実現するというコンセプトがあります。

 

フロントマスクはコンパクトカーながらも堂々とした印象を受けます。そのストレートなデザインがデザイナーの自信を伺わせます。

 

アピールポイントは、フロントグリルが最近のアルファードを意識したような幅広グリルが採用され強いインパクトを放っている点です。

 

またリアデザインは、テールランプ類がピラー(柱)に縦型に配され、機能的なデザインに仕上がっています。

 

ルーミーの歴史 

 

ルーミーのベースモデルは、トヨタの「コンパクトトールワゴン」で、2016年に製造を終了したトヨタ「bB」です。

 

ただし、マーケティングの面からルーミーが意識したモデル車は、同じ「コンパクトハイトワゴン」であるスズキ「ソリオ」でした。

 

トヨタ「bB」とスズキ「ソリオ」の歴史は以下の流れです。

 

スズキ「ソリオ」のベース車である「ワゴンRワイド(1Lモデル)」が発売されたのが1997年です。その3年後の2000年にトヨタ「bB」の初代モデルが発売されました。

 

同じ2000年に「ソリオ」は「ワゴンRソリオ」に車名が変更されます。その後2005年にいよいよ現在の「ソリオ」の車名になります。

 

元々「bB」や「ソリオ」のような1Lエンジン搭載の「コンパクトトールワゴン」「コンパクトハイトワゴン」の市場はこの時期から存在していました。

 

ただし、それまではどちらかというと軽自動車が強い市場だったことから、当時トヨタ自体は参入には消極的でした。

 

ところがトヨタはあることに気がつきます。

 

それはトヨタよりもはるかに小さい販売網しかないスズキが「ソリオ」を毎月5000台もコンスタントに販売していたのです。

 

トヨタで毎月5000台~6000台を販売しているクラスといえばカローラやヴィッツクラスです。

 

月間5000台という販売台数は、例えトヨタといえども決してあなどれない販売台数です。

 

おそらくトヨタは「ソリオ」の月間5000台をトヨタブランドとして販売したら、一体どれほど売れるのだろうかとマーケティングしたのは間違いないでしょう。

 

トヨタはこの時「コンパクトトールワゴン」「コンパクトハイトワゴン」市場に大きな鉱脈があり、ユーザーの需要があることを確信します。

 

ただしトヨタは直接自社ではこの市場には手を出しませんでした。

 

この件に関しては、トヨタ傘下のダイハツが「ソリオ」に対抗するためのモデルの開発を開始することになります。

 

その理由は、これまでダイハツは軽自動車市場でスズキとデッドヒートを繰り広げており、スズキ車のメリット、デメリットを裏の裏まで知り尽くしていたからです。

 

ダイハツはその後、徹底的に「ソリオ」の分析と対抗モデルの研究開発をすすめます。

 

そしてついに2016年11月に初代ルーミーが発売されることになります。

 

ルーミーの年表

 

・2016年11月初代ルーミー発売。

 

同時にルーミーの兄弟車トヨタ「タンク」、ダイハツ「トール」、スバル「ジャスティ」の3モデルが発売。

 

・2018年11月一部改良モデル発売。特別仕様車「G”Cozy Edition”」発売。

 

※現在ルーミーのマイナーチェンジモデルは発売されていません。

 

ルーミーのパワートレイン  ルーミーのエンジンはNAエンジンとターボエンジンの2タイプ!

 

ルーミーのパワートレインはNA(ノーマルアスピレーション)エンジンの「1KR-FE」とターボエンジンの「1KR-VET」の2つのタイプが採用されています。

 

NAエンジンとは自然吸気エンジンの総称のことです。いわゆるこれまでの一般的なガソリンエンジンのことを指します。

 

ターボエンジンとは、NAエンジンに排気ガスを利用した「ターボユニット(過給機)」を追加したエンジンのことです。

 

ターボエンジンの仕組みは排気ガスを利用して、ターボの羽根の部分であるタービンを回転させます。

 

さらにコンプレッサーを使って吸気を圧縮させ、エンジン内部に強制的に多くの空気を送り込むことにより強力なパワーを生み出す仕組みです。

 

ルーミーのエンジンはNAエンジンの「1KR-FE型 1L(996cc )直列3気筒DOHCエンジン」とターボエンジンの「1KR-VET型 1L(996cc) 直列3気筒DOHCエンジン」が搭載されています。

 

ちなみに「1KR-VET型ターボエンジン」は、1.5LクラスNAエンジン並の高いトルクを実現できます。

 

それにより高速走行時のアクセルの反応が、エンジンのパワーに変換され、高いレスポンスを感じることができます。

 

またルーミーの燃費はカタログ値で、NAエンジンの「1KR-FE型」が24.6km/L、ターボエンジンの「1KR-VET型」が21.8km/Lとなっています。

 

ルーミーのインテリアの特徴の説明 ルーミーは「広くて、高い室内」を実現している!

ルーミーのインテリアの大きな特徴は、「1LD-CAR」をコンセプトにしていることから、「広くて、高い室内」を実現しています。

 

シートアレンジのバリエーションが多く、ファミリーのあらゆるニーズに応えることが可能です。

 

特に注目なのが軽自動車は4人乗りまで、コンパクトカーは5人乗りまで可能ということが、ルーミーが軽自動車に対して大きなアドバンテージを獲得しています。

 

ルーミーのステアリング、インパネ周辺はハイテク感が満載で、ドライバーの遊び心を十分に満足させてくれます。

 

さらに「コンパクトトールワゴン」のメリットである車高が高いことで、ドライバーの視界が高く運転しやすくなっています。

 

またドリンクホルダー関係が全座席に対応しており、長時間のドライブでも乗員が気軽に水分補給できるようにきめ細やかな設計も見逃せないポイントです。

 

インパネ中央には、9インチの大画面純正ナビがあるため、ナビを見ながら目的地に安心して到着することが可能です。

 

ルーミーのサイズ・スペック 

 

こちらではルーミーの「Xエディション」のサイズ・スペックをご紹介します。

 

全長×全幅×全高

3.700×1.670×1.735mm

車両重量

1.070kg

総排気量

0.996L

最高出力 

51kW

最大トルク 

92N・m

最小回転半径

4.6m

 

ルーミーのセールスポイント 「コンパクトトールワゴン」市場でトヨタブランドを冠していること!

 

ルーミーの最大のセールスポイントは、トヨタブランドから「コンパクトトールワゴン」市場に投入したことです。

 

「コンパクトトールワゴン」市場自体は、実はスズキ「ソリオ」が開拓した市場です。

 

元々この市場の中心は「軽ハイトワゴン」クラスである軽自動車の市場でした。

 

そのためホンダ N-BOX、ダイハツ タント、スズキ スペーシアなど、軽自動車界のビッグネームが最もしのぎを削っている市場です。

 

特にダイハツとスズキはこのクラスで、切り口を変えた何種類もの「軽ハイトワゴン」を投入して市場の覇権を争っています。

 

それほど「軽ハイトワゴン」市場は、自動車業界ではホットなカテゴリーなのです。

 

だからこそ「軽ハイトワゴン」とサイズなどの極端な差がない「コンパクトトールワゴン」であるスズキ「ソリオ」にコンパクトカーユーザーのニーズが全て集中していたのです。

 

実はトヨタ車のユーザーも「コンパクトトールワゴン」市場に早くトヨタ車ブランドを投入して欲しいと思っていたのです。

 

そして2016年11月にルーミー4兄弟が同時投入されたことで、市場は堰を切ったように購入に動きます。

 

実際、翌2017年のコンパクトカーの年間販売台数は、トヨタアクアが131,615台でした。

 

それに対してルーミーは、78,675台、兄弟車のタンクが70,854台で合計149.529台も売れます。

 

トヨタのコンパクトカーの中では、ハイブリッドカーのアクアを凌ぐほどの売れ行きをルーミーの兄弟車2モデルで達成することに成功しました。

 

ルーミーのライバル車 真のライバルは軽ハイトワゴン車全体!

 

一般的には同じ「コンパクトトールワゴン」カテゴリーである、スズキソリオがルーミーのライバル車であると思われています。

 

ところが2016年11月トヨタからルーミーやタンクが発売されてからも、スズキソリオの月間販売台数は常に約4.100台と安定しており、全く販売台数に影響がなかったことがわかっています。

 

つまりこのことは同じ「コンパクトトールワゴン」カテゴリーであっても、ユーザーのニーズが、ルーミーやタンクとスズキソリオとは全く異なっていたことを物語っています。

 

おそらくはユーザーは「トヨタ」や「スズキ」というブランドに対して動いたと思われます。

 

このことはいい方を変えると、ルーミーとタンクを市場に投入したことで「コンパクトトールワゴン」市場が「ルーミーとタンクのボリューム分」新たに拡大したことを証明しています。

 

また軽自動車の「軽トールワゴン」市場も「ルーミーとタンクのボリューム分」が新たに拡大したことで刺激を受けさらに拡大していくものと思われます。

 

これらのことから、ルーミーと兄弟車であるトヨタ タンク、ダイハツ トール、スバルジャスティの4兄弟対「軽ハイトワゴン車全体」が真のライバル関係にあるといえるのではないでしょうか。

 

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