任天堂のマリオと言えば、もはや日本だけでなく海外でも非常に知名度の高いキャラクターです。リオオリンピックの閉会式の映像にも出演し、話題となりましたよね。
マリオの人気ゲームのひとつ『マリオカート』のように公道を走れるサービスも人気を集めていました。マリオたちのコスプレ衣装を貸し出し、公道カートのレンタルを行っている会社は複数存在するようです。
しかし、そのうちの1社である株式会社マリカーは、とうとう任天堂から著作権侵害で訴えられてしまいました。株式会社マリカーは、どのような会社だったのでしょうか。
株式会社マリカーとは
株式会社マリカーは、2015年に設立。東京都品川区にある会社で、渋谷・秋葉原・富士河口湖・大阪・沖縄に店舗があるようです。社名の“マリカー”が『マリオカート』の略称であることは明らかですね。
日本語版の公式サイトでは何も表示されませんが、英語版は閲覧できるようです(2017年3月29日現在)。提訴された翌日には、アクセスが集中してサーバーダウンが起きたとも言われていますが、今日まで公式サイトが表示されない理由は不明です。
株式会社マリカーでは、ゲームやアニメなど100着以上の衣装があったそう。しかし、『マリオカート』を現実に再現できるとあって、マリオたち任天堂キャラクターの衣装がダントツで人気を集めていました。SNSでも、マリオのコスプレをしてカート走行を楽しむ観光客や若者の姿が多く投稿されています。
カートレンタルの料金
閲覧できる英語版のサイトを見てみると、観光名所をまわるコースがいくつか設定されています。料金は8,000~11,000円ほどで、口コミをすると割引されるようです。その他オプションでスピーカーやカメラもレンタルできる(有料)とのことでした。英語版サイトに掲載されていることからも、外国人観光客向けのプランと言えそうです。
以前はコースではなく時間でレンタル料金を決める「レンタカープラン」なるものも存在したようですが、現在受付をしているのかは不明。普通免許(外国人の場合は国際免許)があれば、簡単にレンタルできるシステムでした。
「マリカー」は任天堂のものではない?
任天堂とマリカー社の確執は、今回の訴訟が初めてではありません。以前にもマリカー社は「マリカー」の文字商標を特許庁に出願し、2016年6月にすでに登録されていたそう。これに対して、任天堂は同年9月に異議を申し立てました。
ですが、2017年1月に特許庁は商標登録を維持する決定を下したのです。「マリカーという略称は広く認知されているとは認められない」というのが理由。
素人からすれば、「マリカー」という名前でマリオのコスプレをしていたら、ほとんどの人が『マリオカート』を連想する気がしますが……。任天堂はもっと早い時期に「マリカー」という単語を商標登録しておくべきだったのでしょうね。
任天堂から提訴されたものの……
株式会社マリカーはその後も、肝心の任天堂には無許可で運営をしていました。そして2017年2月24日、任天堂は株式会社マリカー社を著作権侵害で提訴。賠償金額は1000万円です。商標登録の維持決定が出されていることもあり、裁判の動向に注目が集まっています。
ネットでは「無許可だったのか……」「ありえない」「完全にアウトだと思う」という声が多数。これだけわかりやすく『マリオカート』を連想させる形だったのに、キャラの生みの親である任天堂へ許可を取らないなんて……といったところですね。
また提訴以降も、「マリオコスプレをして走行している一団を見かけた」との目撃情報も多数。実際に写真つきでTwitterにアップしているユーザーも見受けられました。「裁判中だろうにぜんぜん懲りてない」「モヤモヤ感が残る……」と、さらなるひんしゅくを買っているようです。
さらに、ディズニーキャラクターの衣装までも導入されたというから驚き。ディズニーといえば、著作権に厳しいことでも知られていますよね。ポケモンやアメコミヒーロー、少年マンガのコスプレなど、提訴後もコスプレのバリエーションは増えているようです。
マリオたちの今後はどうなる?
確かに株式会社マリカーのサービスは人気があり、有名になりました。しかしそれは、任天堂がこれまでに築いてきたキャラクターの知名度がベースにあったから。単なるレンタルカートでは、わざわざお金を払って乗る人は少ないはずです。
アニメやマンガなど、日本で生まれた有名キャラクターは数知れず。せっかく多くの人に愛されるキャラクターを生み出したのに、お金儲けやさまざまな思惑で泥を塗るようなことはしたくないですよね。訴訟の結果が出るのはまだ先になりそうですが、続報が待たれます。