2017年5月9日にダイハツ・ミライースが、フルモデルチェンジして発売されました。
このフルモデルチェンジに伴って新型ミライースが、先代と比べてどの位進化したのか、対抗車種との性能や燃費差はどうなったのか、新型ミライースの全貌の紹介をしながら解説いたします。
エコを追求した軽自動車の先駆車、ミライース
初代ミライースは、2011年の秋に発売されました。コンセプトは、誰もが気軽に乗れる「第3のエコカー」です。
具体的には、車両構造を見直し、ベースとなった現行のミラの同等グレードよりもさらに軽い車体を採用。また、「e:S(イース)テクノロジー」と呼ばれるエンジン・トランスミッションの改良で、細部にわたるメカニカルロスを極限まで低減します。これにより、ベースとなったミラFF3速オートマと比べて燃費性能が約40%改善されました。
ミライースの登場以降、各メーカーがエコや燃費を意識した軽自動車を続々と投入します。しかしながら、軽自動車にエコや燃費概念を植えつけた先駆者ならぬ先駆車が、初代ミライースでした。
そして、2017年5月。発売から約5年半という比較的ロングランの販売期間となりましたが、この度いよいよフルモデルチェンジに至ります。
新型は燃費・運動性能を高め、安全性がさらに向上
ダイハツが、今回新型ミライースを出した際の基本的なコンセプトは、2つ。それは、「e:S(イース)テクノロジーを更に進化」と、「内燃機関を追及したことによる次世代環境車、スタイリッシュなエコ&スマートデザインによる先進性の実現」の2点です。
新e:Sテクノロジーを解剖!
元々は、トヨタプリウスのプラットフォームを参考に作られたモノコック(軽量高剛性ボディ)ですが、そこに今回フェンダー、バックドアなどを樹脂製にすることで軽量化も実現。先代の730kgから650kgにまで軽量化。2WD35.2km/L 4WD32.2km/L(一部グレード除く)
エンジン本体の構造は、クールドi-EGRを採用。水冷式のEGRクーラーで、排気ガスを冷却して燃焼室に戻すことでノッキングを抑制し、熱効率が向上しています。また、CVTもサーモコントローラーを使い、エンジン冷却水とCVTフルードを熱交換。エンジン内部の適温度化を保つことで、燃焼効率の向上、CVT変速効率向上を高めています。
また新型ミライースは、転がり抵抗の低減も改善しています。足回り部品の1つ1つまで見直し、15kgの軽量化を実現。燃費、運動性能の向上を図ったまさに、ダイハツのコンセプトモデルなのです!
ミライースのスタイリッシュでエコ&スマートな部分って?
ミライースの外観は、先代よりも空力性能を高め、より一体化したデザインを強調としています。
カラーも全9色を用意。また、軽自動車初の電気スイッチ式のバックドアオープナーを装備しています。車内は、使い勝手の良い装備として、インパネ掘り込み式ドリンクホルダーや、手の届く位置に複数のポケットが用意され、車内空間を広く見える工夫を施している部分が先代との大きな違いでしょう。
また、上級グレードからですが、やはりLEDヘッドランプ、LEDテールランプの採用が、エクステリアをスマートに見せている1番大きい部分といえます。さらにエコ発電制御、停止前エコアイドリングストップ等が組み合わさり、「スタイリッシュなエコ」を強調しているのです。
先進技術の「スマートアシストⅢ」を搭載
新型タントに初搭載された、先進技術「スマートアシストⅢ」ですが、新型ミライースにも搭載されました。従来のスマートアシストⅡはシングルカメラであったのに対して、スマートアシストⅢはダブルカメラを装備。しかも世界最小のステレオカメラを採用しています。このダブルカメラが歩行者の対応、作動速度範囲の拡大を可能としているのです。また、前後各二つのコーナーセンサーによって多くの回避行動が出来るシステムに進化、軽自動車の登録台数増加に伴って採用されていることも喜ばしいことといえるでしょう。
スマートアシストⅢと聞いて、何ができるのかいまいちピンと来られない方もいらっしゃるでしょう。対車両及び対歩行者としては、①衝突警報、②一次ブレーキ、③被害軽減ブレーキアシスト、④緊急ブレーキが上げられます。
イメージとしては、
①衝突や接触の危険を察知したら、警報やメーターパネルでドライバーに知らせる。
②さらにシステムが危険を察知したら自動的にブレーキをかける。
③この時、ドライバーがブレーキを踏むと、システムがアシストしてくれる。
④システムが、衝突・接触が避けられないと察知したら強いブレーキで減速する。
といった手順となります。その他、前後誤発進抑制制御機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト等も備わっています。
やはり、スズキ・アルトが新型ミライースの対抗車種
ダイハツ・ミラといえば、発売当初からのライバルとしてスズキ・アルトが挙げられます。
新型ミライースと現行のアルトを比べてみることにしましょう。アルトの燃費は、2WDで37km/L、4WDで33.2km/Lと、ミライースよりも公表値は、一歩リードしています。今までのミライースの紹介で皆さんは、アレ?と思いませんでしたか。あれだけ、軽量化もして、細部にわたる変更を行ったのに、先代と新型で燃費が同じです。実は、ダイハツの今回の軽量化や細部の変更は、乗り手のドライバビリティの向上を目的としているので、公表値上の燃費は上がっていないのです。要するに数値上の燃費よりも運転のしやすさによる実燃費を向上が狙いなのです。そうだとしても、今回燃費性能は、Sエネチャージのアルトが、若干リードしていると言わざるを得ません。
次に車内幅をみてみましょう。ミライースは、アルトと比較して車内が100mm広いことがカタログから見て取れます。軽自動車でこの幅の違いは、かなり大きな違いとなるでしょう。
また、安全性能は、結論から言うとミライースの圧勝です。アルトの自動ブレーキは目の前の「止まった対象物」に対して、自車速度が30km/h以下でようやく緊急ブレーキが作動します。一方、新型ミライースの自動ブレーキは「動く歩行者」に自車速度が4~50km/hでブレーキが作動します。その他の警告等を含めて圧倒的にミライースの方が有利です。
車のフォルムに関しては、アルトはかなり独特な路線を行った感があります。
それに対して、ミライースは日本人が、好みそうなフォルムに仕上がっています。見た目の好き嫌いは個人差ですので、どちらがどうというのは難しい部分ですが、アルトとミライースのフォルムはある意味両極端ともいえるでしょう。
ミライース X-SAⅢ | アルト S | |
全長×全幅×高さ(mm) | 3,395×1,475×1,500 | 3,395×1,475×1,475 |
室内長×室内幅×室内高(mm) | 1,935×1,345×1,240 | 2,040×1,255×1,215 |
重量(kg) | 670 | 650 |
ホイールベース(mm) | 2,455 | 2,460 |
エンジン最大出力 | 49ps(36kW)/6,800rpm | 52ps(38kW)/6,500rpm |
JC08モード燃費 | 35.2km/L | 37.0km/L |
タイヤサイズ | 155/70R13 75S | 145/80R13 75S |
本体価格 | 108万円 | 102万3840円 |
今後のミライースの進化の方向は?
現時点で安全性能は、軽自動車では一歩リードしています。ただし、課題も残されています。それはエンジンを補助する機能が備わっていないことで、このことが大きな燃費性能の差になっていることも事実です。今後は低価格が売りのミライースの値段を維持しながらエンジン補助機能を装備できるかがカギになることでしょう。
【関連項目】
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