今後の展望はどうなる?注目の「ハイブリッドスーパーカー」3種

     
   

フェラーリでは「ラ・フェラーリ」、ポルシェでは「918」、マクラーレンでは「P1」などがハイブリッドエンジン搭載のスーパーカーとして注目を集めています。

ハイブリッドカーというと、燃費性能の上昇を狙うクリーンなイメージが付きまといますが、これらのスーパーカーはそんなイメージを吹き飛ばすほどの驚異的スペックを誇っています。

今回はそんなハイブリッドスーパーカーを紹介しつつ、今後のスーパーカーの展望をまとめてみました。

フェラーリのハイブリッドスーパーカー「ラ・フェラーリ」

現在、スーパーカーのメーカー各社がハイブリッドエンジンの搭載されたモデルを用意しています。その中でも代表的でもっとも知名度が高いのは、フェラーリから販売されている「ラ・フェラーリ」ではないでしょうか?

photo by Norbert Aepli, Switzerland(CC BY 3.0)

ランニングコストを度外視してスペックを追求するスーパーカーの中で、ハイブリッドエンジン搭載モデルというのはどこか中途半端なイメージがするかもしれません。

しかし「ラ・フェラーリ」は、我々が想像するハイブリッドカーを遥かに凌駕する怪物マシンです。

一見コンセプトカーにも見えるシャープなフロントフェイスの中身には、6リッターV12エンジンを搭載しています。

これだけで800PSと、十分にモンスター級のパワートレインなのですが、さらに回生エネルギーを利用したハイブリッドシステムを搭載し、トータルとして983PS、トルクにして900Nmという超ハイスペックです。

ハイパワーモーターアシストとローンチコントロールなどの高度な電子制御による加速は絶品で、0‐100km/h加速を2.5秒で軽々とこなし、最高時速は350km/hオーバーとスーパーカーの中でも一級品の性能になっています。

気になるお値段はこれまた一級品。推定1億2000万円と言われています。

「推定」となっているのには、もちろんちゃんとした理由があります。「ラ・フェラーリ」は世界で限定499台しか販売されておらず、フェラーリと密なコネクションを持ったユーザーでなければ、商談どころか車両価格を知ることすらままならないのだとか。

実燃費が気になるところですが、恐らく「ラ・フェラーリ」のオーナーたちは燃費計測どころか、自分で給油に行くこともないブルジョアジーなのでしょう……ほとんど情報がありません。

風の噂では10km/ℓ前後の燃費性能なのではないかと言われています。

マクラーレンのハイブリッドスーパーカー「P1」

photo by Norbert Aepli, Switzerland(CC BY 3.0)

こちらもおよそ1億円の価格帯であるマクラーレン「P1」ですが、「ラ・フェラーリ」の499台に比べてさらに販売台数が少なく絞り込まれており、世界で375台しか存在しないスーパーカーです。

3.8リッターV8ターボエンジンと電気モーターの組み合わせは、916PSを発生させる極上パワートレインです。

最高出力こそラ・フェラーリに劣ると言われていますが、強力なダウンフォースを発生させるボディはコーナリングで優れた性能を発揮し、ソリッドかつスリリングなハンドリングが持ち味なのだそうです。

また、特筆すべき点はEVモードによるゼロエミッション走行が可能な点でしょう。電気だけで走行できるスーパーカーというのも、なかなかにオツなものですね。

燃費性能は12km/ℓほどと言われていて、「ラ・フェラーリ」よりも僅かに優れているようです。

しかし、この「P1」もキャッシュを積めば買えるというものでもないらしく、名車と名高いマクラーレン「F1」の購入者から優先的に商談権利が与えられるそうです……。

ポルシェのハイブリッドスーパーカー「918」

photo by Alexander Plushev (CC BY 2.0)

高級スポーツの雄、ドイツのポルシェが配するスーパーハイブリッドが「918」です。ハイパフォーマンススーパースポーツである「カレラGT」の踏襲車ということで、非常に注目を浴びているモデルと言えるでしょう。

基本的なシャーシ構造は「カレラGT」を流用し、パーツも同じものを流用している箇所が多いそうです。しかし、その円熟したシャーシに搭載されるパワートレインは、打って変わって未来的なものです。

V8レイアウトの4.6リッターエンジンは612PSを発生させ、220PSがモーターアシストを行い、パワートレイン全体の最高出力は880PSほどとなっています。

数値だけで見れば、先ほどの2台と比べると若干の見劣りをしてしまうかもしれませんね。

その分、優れた部分も数多くあります。プラグインハイブリッドシステムとなっている点は、未来的なパワートレインと言えるでしょう。EVモードでの走行も可能で、航続距離は満充電で26kmと「P1」の10kmを大幅に上回ります。

また他2台とは違い、優秀な電子制御のもとに駆動する4WDシステムを有しており、単純なコントローラブル性能で言えば3台中でもっとも優れていると言えるのではないでしょうか。

燃費性能は群を抜いて、公称で30km/ℓと言われています。本当ならとんでもない燃費性能ですね。

ちなみに、こちらもお値段はおよそ1億円なり。一度でいいから乗ってみたいものです……。

各メーカーから見るスーパーカーの未来

トヨタの牽引するエコブームに、世界中が活況する昨今、燃費性能や環境性能はスーパーカーであっても重視すべきファクターとなっているようです。

それを克明に示唆しているのが、世界最高峰のカーレース「フォーミュラーワン」でしょう。このレースでは以前からダウンサイジングターボエンジンが採用され、絶対的な速さだけでなく、環境性能にも配慮されるようになりました。

また、モアパワーを実現するためのハイブリッドシステムも順次開発が進んでいるようで、モーターのパワフルなトルクと、大排気量もしくはターボエンジンの組み合わせによる胸をすく加速感を実現しています。

もちろん、カーレースやスーパーカーは決して環境に良い存在ではありませんが、それでもそれらを求めるエンスージアストが健在とあっては無下にはできないものです。

今後は環境性能に配慮しつつ、エンスージアストのニーズも満たすハイブリッドスーパーカーがトレンドになっていくのかもしれませんね。

今の子どもに自動車に関するアンケートをとると、フェラーリよりもトヨタ・プリウスの方が人気なのだそうです。これからの未来を生きていく子どもの方が、環境性能に関してずっと敏感で現実的なのかも。

子どもの未来を考えると、ハイブリッドスーパーカーというジャンルは、刹那的なロマンと未来への堅実性を兼ね備えたジェントルな選択肢と言えそうです。

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