三菱自動車の不祥事…連日話題の「燃費改ざん問題」全容に迫る

三菱自動車の不祥事…連日話題の「燃費改ざん問題」全容に迫る
     
   

フォルクスワーゲンの排ガス規制不正行為に続いて世間を賑わせている、三菱自動車の燃費改ざん問題。自動車業界では、ここのところ環境性能に関する詐称が続発しています。

これらの事件が続発する背景には、一体どのような事情が潜んでいるのでしょう?自動車業界の激化する燃費競争について迫っていきます。

不祥事続発の三菱自動車

大きな事件となった大型トラックのリコール隠しから、ダーティなイメージが浸透してしまった三菱自動車。今回の事件は組織ぐるみの燃費性能改ざんと、根の深い問題となっているようです。

当初は燃費改ざんの対象車種は軽自動車のみとなっていましたが、三菱の売れ線であるSUV勢、特に大人気のアウトランダーやそのPHEVまでもが対象となっていたのは衝撃的でした。

現在、小型車から大型車まで各メーカーが熾烈な燃費競争を繰り広げており、リッターあたりの走行距離は年々伸びています。

そんな中、フォルクスワーゲンや三菱自動車の不正は、自動車業界全体に不信感という名の暗雲をもたらしてしまいました。

事件の背景には、いったい何があったのでしょうか?その背景に迫るには、まずは燃費性能の計測方法について知る必要があるかもしれません。

car fuel gauge indicating full

カタログ燃費を算出する仕組みとは?

そもそも、カタログ上で明示されている燃費はどうやって計測されているのでしょう?

普段はあまり気にすることのないカタログ燃費ですが、そこに間違いがないと思ってしまうと、痛い目に遭うかもしれません。

というのも、カタログによく表示される10・15走行モードというのは、自動車の実際の走行シーンとはかけ離れたものだからです。

計測には「シャシダイ」と呼ばれる巨大なローラー上に自動車全体を乗せて走行させるので、特殊な環境下で行うことになります。

ここで注意すべきは、走行風の抵抗を受けなくて済むということと、路面抵抗が低減された状態で計測できるということです。人間で言い表すなら、道路ではなくランニングマシン上で走るようなものです。

一般道路上に存在する路面の凹凸や勾配の変動などは、単体であればそれほど気になるものではありませんが、積み重ねれば大きな走行抵抗となります。当然ながら、走行抵抗が高ければ高いほど燃費には悪影響を与えます。

Car on asphalt road in summer

ですから、三菱に限らず各自動車メーカーは、燃費のカタログ数値をできるだけ高水準に保つために、燃費チェックの際にできる限りのお膳立てをしているということです。

その数値は、ユーザーが実際に運転して計測する実燃費とはかけ離れている場合も少なくありません。

もちろんそれは誰もが知るところでしょうが、今回の三菱は燃費性能の誇張をするあまり、計測データの改ざんにまで着手してしまったということです。

激化し続ける燃費性能の追求とその負の側面

単純な燃費性能で言えば、トヨタの「プリウス」「アクア」などに敵う自動車はありませんし、自動車業界の研究・開発は日々激化していると言えます。

これらの対抗馬に対するプレッシャーが、三菱の経営陣・開発陣にのし掛かっていたという状況も要因の一つとされています。

また、天下の財閥企業・三菱グループであっても、近年の車両開発の資金は十分ではありませんでした。金額にして、トヨタ自動車の10分の1ほどと言われています。もちろん予算が全てではありませんが、それでも大きな指標であることは間違いありません。

劣悪な状況下で最大限の成果をあげるのは、ビジネスシーンでは重要なことです。しかし、自動車作りはそれほどシンプルなものではないはず。

燃費性能は試乗だけでは把握しきれないファクターであり、結果としてカタログ上の数値を鵜呑みにする他ありません。

つまり、メーカーからすれば偽装するには格好の部分であったということです。今回の一連の騒動を考えると、自動車選びの際にカタログ上のスペックを単純に信じることはできなくなってしまいそうですね。

Safe Driver

かつて三菱と言えば、日本が誇る巨大企業でした。その三菱が今回、偽装までして自動車を売ろうとしていたことは、受け入れ難い事件と言えるかもしれません。

三菱自動車は、日産の優秀なエンジニアを招き、協力体制のもとに組織を再編成するとのことです。もちろん、それも結構なことなのですが、人的資本の入れ替えの他にも、組織全体の意識改革が最も重要になってくるのではないでしょうか。

虚心坦懐な心持ちが蘇ったなら、名車とうたわれた「ランサー・エボリューション」のように、高性能かつ美しい自動車作りが再現できるはず。ぜひともかつての栄華を取り戻してもらいたいものですね。

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