季節はいよいよ春本番となりました。この時期は、屋根の開いたオープンカーを街で多く見かけることができます。颯爽と駆け抜けるその姿に目を奪われる方も多いことでしょう。
ここでは、日本で手に入るオープンカー10台を一挙にご紹介します。
1:ロードスター
photo by wikipedia
オープンスポーツカーの代表的な存在であるのが、マツダ・ロードスター。絶滅しかけていたジャンルを見事に復活させ、定着させた存在です。このクルマがなければ、今のオープンカーの隆盛はなかったでしょう。
初代は1989年に登場、現行型は四代目となります。余計なものが一切ないその作りは、まさにピュアスポーツ。クルマが軽い(グレードによっては、車重1トンを切ります)ことは、こんなにも楽しいのか!とドライバーをやる気にさせてくれます。そんな人とクルマが対話できる「人馬一体」感が、このクルマの最大の魅力です。
間もなく電動メタルトップ装備の新グレード「RF」もラインナップに追加される予定で、話題が尽きません。
2:S2000
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生産終了から7年以上経過してもなお人気が高いホンダのオープンカーが、S2000です。1999年にデビューし、その高いハンドリング性能は多くのモータージャーナリスト達をうならせました。
レブリミット9,000回転というホンダお得意の超高回転型VTECエンジン、F20C型をフロントに搭載してリアを駆動させるFRレイアウトが特徴です。モデル後期にはエンジンを2.2リッター化し、中低速域での扱いやすさを向上させています。
また、モデル末期には、専用エアロパーツで空力性能をアップさせた「タイプS」も登場。ワイディング・スペシャルの名を欲しいままにしました。
3:コペン
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1999年の東京モーターショーで「Kopen(軽のオープン)」という名で発表され、2002年に発売されたのが初代「Copen(コンパクトなオープン)」です。軽自動車規格としては久しぶりのオープンカーということで、話題になりました。
ドイツ・ベバスト社と共同開発した電動メタルトップルーフは、クローズド状態からオープン状態にするまで約20秒という短時間を実現。どちらの状態のフォルムも、とても美しいデザインになっています。
2014年に発売された2代目は、樹脂素材でできたボディを着せ替えできる「ドレスフォーメーション」と呼ばれるクルマの新しい楽しみ方を提案。また開発アドバイザーに元F1ドライバーの片山右京氏を招くなど、走りの性能追求にも抜かりはありません。
4:S660
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2015年に発売が開始されたホンダ・Sシリーズの末弟が、S660です。かつてのビートのようなコミューター路線ではなく、ホンダスポーツの血統である「S」の名前を冠したところにホンダの本気を感じさせます。オープンと言っても厳密にはタルガトップとなり、ルーフ上部のみがソフトトップとなります。このボディ形状により、高いボディ剛性を確保することに成功しています。
走りの性能は軽自動車とは思えないほどレベルが高いもので、ドライバーが狙ったラインにクルマがきっちりと反応してくれます。専用設計の6速MTはストロークが短く、手首のスナップだけでシフトが決まります。
専用タイヤ「ADVAN Neova AD08R」はグリップレベルがとても高く、雨の日などでも安心してドライビングに集中することができます。21世紀の新しい「S」のカタチです。
5:SLK
メルセデス・ベンツのミドルレンジを担うCクラスベースのオープンモデルとして開発されたのが、SLKです。初代は1996年に登場、日本へは翌年より導入が開始されました。メルセデスとしては初の電動メタルトップ「バリオルーフ」を装備しています。他のメルセデスと比較してライトウェイトであること、コンパクトであることなどから初代から人気モデルとなりました。
2代目は2004年に登場。当時メルセデスのイメージリーダーとなっていた「SLRマクラーレン」に似たフロントフェイスのデザインが話題になりました。日本での販売は本国にあった直列4気筒モデルの採用は発売当初は見送られ、V6エンジン搭載車が販売のメインになりました。
ハイパフォーマンスバージョンとして、AMGの手によってチューニングされた「SLK55 AMG」もリリースされました。このモデルは、F1のセーフティーカーなどでも活躍しました。
現行モデルは、2011年に発売。フロント部のデザインに「SLS AMG」のイメージが見て取れます。現在は「SLK200 MT」「SLK200 トレンド+」「SLK200 エクスクルースシヴ」の3グレード構成になっています。
6:Z4
BMWとしてはZ1以来のオープンスポーツモデルとして1996年に登場したZ3の後継車(事実上は上級車種)となったのが、Z4です。初代は2003年に登場しました。
流麗なデザインは、クーペ・フィアットやフィアット・バルケッタなどを手がけたクリス・バングルによるもの。2005年にはクローズド・モデルのクーペも発売。こちらもオープンと同様、美しい形状のボディとなっています。
2代目は、2009年に登場。同社の7シリーズをデザインする、アドリアン・ファン・ホーイドンクの手によってデザインされました。この代よりクーペは廃止され、リトラクタブルハードトップが採用されます。このモデルは改造範囲の狭いGTカーレースのレギュレーションである「GT3」クラスにて、世界中のGTレースで活躍しました。日本でも、昨年までこのZ4 GT3の戦う姿を見ることができました。
7:ボクスター
今やポルシェの代表車種と言えるまでになった、ボクスター。1993年のデトロイトショーでお披露目され、1996年から発売が開始されます。
比較的廉価なポルシェとも言えますが、ミッドシップレイアウトということもあり本格的な走りが楽しめるのが魅力です。その証拠にS2000やフェアレディZ、BMW Z4など多くのスポーツカーのハンドリングのベンチマークとされています。
現行モデルは「718ボクスター」と名乗り、ケイマンの上位車種となります。ポルシェらしいシュアなハンドリングを楽しみたい方には、値段もこなれてきた初代モデルである986型がおすすめ。軽量コンパクトなボディのため、思いっきりドライビングに集中できます。
8:MGF
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絶滅寸前であったブリティッシュ・ライトウェイトスポーツ復活の立役者の一台が、MGFです。MGブランドの復活を目指すべく、ローバーの手により1995年に市販が開始されました。
開発期間の短縮化と開発費の削減のため、既存車種であった「ローバー100」のコンポーネンツを多く流用しています。エンジンもそのひとつで、ローバー伝統のKシリーズを採用。決して出力は高くありませんが、ボディが軽量なため走りを爽快に楽しむことができます。
サスペンションには液体式関連懸架「ハイドラガス・サスペンション」を搭載、これによりコンフォートな乗り心地とスポーティな乗り味を実現しています。後継車のMG TFも、ごく少数ながら日本に入ってきています。
9:エリーゼ
ブリティッシュ・スポーツの代表選手とも言えるのが、エリーゼです。現在では様々なグレードが存在し、ロータスの看板車種となっています。アルミで成形されたバスタブ型のフレームを接着剤を用い接合、リベット止めなどを一切行わないそれは大変軽量に仕上がっており、シャシー単体の重量は何と約68kgとなります。またボディもロータス伝統のFRP製となり、こちらも軽量化に寄与しています。
1996年に販売が開始されたエリーゼは、当初ローバーのKシリーズエンジンを採用。スポーツカー向きとは言い難いエンジンですが、軽量ボディのため思いのままのハンドリングが楽しめます。その後ローバー社の破綻により、エンジンはトヨタ製に改められます。
おすすめは、最初期のモデルであるフェイズ1。余計な装備が一切ない、超スパルタンな仕様です。コストを度外視したかのようなアルミ部品の多用(ブレーキローターまでアルミを採用)により、約690kgという超軽量を実現。ブレーキブースターなどが装備されないためドライビングはシビアになりますが、手懐けた時の快感は言葉では言い表せないでしょう。
10:セヴン160
photo by Seven 160 | ケータハム JAPAN 公式サイト
オープンスポーツの元祖とも言える存在が、スーパーセヴンです。当初はロータスにてレースを楽しむプライベーター向けに「キットカー」という形で販売されていたクルマで、その後1970年代に生産設備ごとケータハム社に譲渡されました。セヴンのレプリカは数多く存在しますが、このケータハム製こそ純粋なセヴンと言ってもいいでしょう。
現在販売されている最も小型のセヴンは「160」と呼ばれるモデルで、スズキ・ジムニーの658ccの3気筒ターボエンジンを搭載。小さいながらも作りは本格派で、車両重量は490kg、最高出力80PS、最大トルクは10.9kgf/m、0-100km加速を6.9秒でこなします。
その走りは、まさにカートのような一体感が感じられるもの。純粋に走ることだけを目的としているため購入となるとハードルはとても高いですが、これでしか得られない走りの気持ちよさがあります。真のエンスージアストを目指すなら、このクルマはおすすめです。ルーフがないことだけを除けば、日本で最も楽しめるクルマと言えるでしょう。
10台のオープンカーを紹介してきましたが、どれも個性的で面白いクルマばかりです。クルマ選びの候補の一台に、そして自分の愛車遍歴にオープンカーを入れると、より豊かなカーライフを楽しむことができるかもしれませんね。
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