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小さな巨人、スズキ・ジムニーが人々を惹きつける理由

2017.04.24
スズキ ジムニー
photo by スズキ株式会社

初代誕生から47年、現行型もデビューから約20年というロングセラーを誇るスズキ・ジムニー。今ではすっかり軽自動車の本格四駆として定着していますが、その基礎となったクルマは実は別のメーカーのものだったことはご存知でしょうか。ここでは、そんなジムニーの歴史を振り返りつつ、このクルマの魅力に迫ってみようと思います。いったいどんな歴史があるのでしょうか。

ジムニーの前身は、今はなきあのメーカー製のものだった

ジムニーの歴史を語る上で絶対に外せないのは「ホープ」という企業の存在です。まずは、このホープについて見てみることにしましょう。

ホープは1952年、東京・上野で「ホープ商会」として自動車開発や生産を目的に創立され、その後1954年に「ホープ自動車」と改称します。発売した軽三輪トラック「ホープスター」は爆発的なヒットを記録し、一時代を築き上げました。しかし、その人気は長くは続かず、やがてダイハツや東洋工業(現、マツダ)など、有力メーカーの後塵を拝すことになります。

そんなホープ自動車の最後の作品といえるのが「ホープスター・ON型」と呼ばれるクルマでした。当時の軽免許で運転できる不整地用万能車として開発されたこのクルマはラダーフレーム構造となっており、エンジン位置を高くすることで悪路走破性を向上させていました。エンジンをはじめ駆動系の多くは三菱重工業(現・三菱自動車)製のものを用いて信頼性を確保。タイヤは大径の16インチを採用しています。こうして1967年に発売されたON型ですが売れ行きは芳しくなく、結局このクルマを最後にホープ自動車は自動車生産・販売から撤退しました。その後ホープ(後にKHPと改称)はアミューズメント業界に進出し、いったんは業績が上向きますが、2017年3月末に事実上倒産という形で幕を閉じます。

ジムニー誕生のきっかけは、スズキに欠かせない「あの人」の存在

photo by スズキ株式会社

そんなON型の可能性を見出したのが、今では「スズキの顔」ともいえる鈴木修氏です。ON型誕生時点で、既にホープ自動車は苦境に立たされていました。そこでホープ自動車の創設者である小野定良氏は、まず部品の供給元であった三菱重工業にこのクルマを売り込むことにしました。しかし三菱重工業は、この打診に難色を示します。その後小野氏がスズキの東京支社に赴いたところ、ON型に強い関心を示したのが鈴木氏だったというわけです。
スズキ社内からは「社長の道楽」「売れないクルマの製造権を買ってどうする」など、批判の声が上がる中でのことでした。結局その後スズキが1200万円でホープ自動車からON型の製造権を買い取り、スズキのエンジンを搭載した試作車が数台製作さます。これが現在につながる、ジムニー誕生の裏側というわけです。

男のクルマ、ジムニー誕生

photo by スズキ株式会社

こうして、1970年に初代ジムニーは発売されました。下敷きとなったON型は確かに悪路走破性には優れていましたが、一般大衆向けとしては不成熟な部分があり、改良の余地が多く残されていました。スタイリングもそのひとつで、あまりにも無骨だったON型に対してスポーツ性を取り入れたものに変更。またトランスファーの機構を変更してウインチを動かすようにできるなど、本格的な四駆としての性能を付け加えました。

ジムニーは小型であるにもかかわらず高い機動力が発揮できるクルマとして市場では好意的に受け入れられます。ちなみに発売当初のキャッチコピーは「自然に挑戦する男のクルマ」でした。1972年には早くもマイナーチェンジが施され、エンジンが水冷に変更されました。4人乗りやバン仕様が出てきたのも、この頃になります。

そして1976年に、現在も名車と名高いマイナーチェンジモデル「ジムニー55(ゴーゴー)」が誕生。排気量が550ccにアップされ、一部モデルにはメタルドアが採用されました。翌年には、スズキ四輪車初の4サイクル800ccのエンジンを搭載した「ジムニー8」が追加されています。

Tough & Neat、万人受けを狙った2代目

photo by スズキ株式会社

初代モデルで多くのファンを掴んだジムニーの次なる課題は、快適性と操作性の向上でした。それを目指し開発されたのが、1981年に発売された2代目です。

キャッチコピーは「Tough & Neat」で、直訳すると「頑丈でこぎれいな」という意味になります。初代のキャッチコピーでは「男の乗り物」と謳われていましたが、2代目では女性ユーザーの獲得も念頭に置かれていました。その意味で、この2代目はオフロードとオンロード性能の両立に心血を注いだモデルとなっています。初期モデルは引き続きジムニー55と呼ばれ、日本最後の2サイクル自動車として名を残しました。1982年には1,000ccモデルが、さらに1984年には1,300ccモデルが、そして1986年にはターボ車が追加され、ラインナップが充実します。

1990年には軽モデルの排気量がアップされ、660ccに。1994年に三菱から直接のライバルとなる「パジェロミニ」が誕生したことを受け、1995年にジムニーは大改良を加えられます。一番の変更点は、ジムニーとしては初めてコイルスプリング式のサスペンションが与えられたことです。これにより、オンロード性能が格段に向上しました。また、乗用車中心のラインナップに改められたこともトピックとなります。

リアル4×4スポーツ、未だ高い人気を誇る3代目

photo by スズキ株式会社

ラダーフレームや前後リジッドアクスルの脚周りは継承しつつ、より乗用車ライクに仕立てられたのが1998年より現在も販売されている3代目となります。オフロードの走破性はそのままに、主にオンロードでの快適性を高めたのが特徴です。またデザインもモダンなものになり「ヨンク」というよりは「小さな本格SUV」といった出で立ちに仕上がっています。この意匠に関しても今回のモデルでは評価が高く、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞した経歴があります。現行型も登録車タイプのものがラインナップされており、1,300ccエンジンを搭載します。

なぜジムニーは高い人気を誇るのか?

まずは、こちらの動画をご覧ください。

これは2014年2月に関東~東北地方を中心に襲った、記録的な大雪の夜の映像です。ジムニーが牽引しているのは、何と自身より何倍も大きく重量のあるトラック。これだけでも、このクルマのすごさが伝わってくると思います。

日本に限らず世界にはまだまだ不整地が多く、また小さなクルマでなければ入れない道があるのは事実です。まだ記憶に新しい東日本大震災や熊本地震の時も、ジムニーのような小さな四駆が至るところで活躍しました。この機動性の高さこそが、ジムニー最大の魅力です。またサードパーティよりカスタマイズのパーツが数多くラインナップされており、安価で自分の好みに仕立てられるというのも人気の秘密といえます。世界の190近い国と地域で愛されるジムニー、それは大きなものを小さくすることが得意な日本人だからこそ創り上げることができた「小さな巨人」なのです。

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文:イキクル編集部


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