モデル消滅決定のスバル レガシィB4を振り返る

     
   

スバルと言えばレガシィを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

セダンとワゴンのラインアップで90年代から2000年と大ヒットさせました。そんなレガシィですが現行モデルにモデルチェンジされたときにはワゴンモデルがラインアップから消滅され、アウトバックとセダンになりました。

国内のワゴン市場縮小のためだとかで北米向けに拡大され続けたワゴンは国内では捌けないとの判断から、国内向けには初心に帰った新モデル・レボーグが投入されたのは記憶に新しいことです。

 

現在の国内自動車市場で人気なのがSUV。

スバルもSUVには力を入れていますね。トヨタをはじめ国内メーカーではSUVのラインアップが充実しています。その反対に陰りと言うかどうにもお寒い、いいえ氷河期状態なのがセダン市場です。

国内販売台数ナンバーワンのトヨタでさえスポーツセダンの代名詞だったマークXをモデル消滅とを決めました。

北米では、レガシィの新型が発売されましたが日本国内の販売は2020年からで、さらに次期モデルからはアウトバックのみ!?でセダンのB4は販売不振から国内販売は見送られてモデル消滅になるかもしれないのです。

 

実に残念なニュース。まさに訃報とでもいうべきレガシィB4のモデル消滅のニュースは寝耳に水のような俄には信じられないことです。

2019年8月のレガシィB4の販売台数は81台。

台数では、日産・フーガやホンダ・アコードが同じような販売台数になっています。日産やホンダのような会社と違い限られた設備で効率よく生産してゆかなくてはいけないので、スバルで一番売れていないレガシィB4がモデル消滅するのも致し方ないことかもしれません。

 

スバルの大看板だったレガシィB4がなくなってしまうのはとても悲しいです。

今回は、スバル レガシィのセダンB4を振り返りたいと思います。

 

 

スバル復活の狼煙 初代レガシィ(1989~1993年)~WRCで悲願の優勝

 

レガシィが登場する前のスバルの状態を話しましょう。

平成前の80年代末、レオーネを中心に販売していたスバル。独特な水平対向エンジンと4WDを、セダンやワゴンに搭載していました。雪道に強い車のイメージはありましたが、水平対向エンジンは整備がやりにくいと一般ユーザーからは敬遠される向きもありました。

当時から独特な雰囲気を醸し出していたスバルには、マニアックでコアなマニアが存在していましたが一般受けしづらい気難しさもあったのは間違いありません。

 

当時の国内メーカー販売台数では最下位で、あったため経営難のため資本支援を受けていた日産との合併話も持ち上がっていたのは事実です。

日産に吸収されレオーネの一ブランドのみ生産なんて話もありました。ブランド人気が高まっている現在のスバルからは全く想像もできないことですね。

4WDと水平対向エンジンそしてアイサイトの先進的安全機能を売りにしているスバル。スバルブランドを守り売れる会社に変化し成長していったのには驚かされます。その転機になったのは初代レガシィなのは間違いありません。

 

初代レガシィは、1989年登場。スバル1000から改良を続けて使われてきたレオーネのシャーシ流用をやめ、スバルとしては2000ccフルサイズのセダンとワゴンとして、まったく新しく開発されました。駆動方式は、FFと4WD。4WDは、スバル初のフルオートフルタイム4WDが搭載されました。

国産初は、マツダ・ファミリアに先を越されましたが、レオーネから培われた4WDのノウハウが凝縮されています。廉価版の4WDには、レオーネで使われてボタン式のパートタイム式4WDもラインアップ。

 

ボディサイズは、5ナンバーフルサイズの大きさでライバルは三菱・ギャランや日産・ブルーバードなどのスポーツセダンです。ブリスターフェンダーが印象的なデザインは、ジウジアローが関与したとされますが、スバルのオリジナルのデザインです。

 

エンジンは、スバル伝統の水平対向エンジン。新開発のEJ20エンジンはレオーネのOHCからDOHC4バルブ化されインタークーラー付ターボが搭載され、最高出力は220PSとライバルと肩を並べるパワーを獲得しました。

 

販売前には、アメリカのアリゾナ州で10万キロ耐久走行の世界速度記録を樹立。走行平均速度は、223.3kmを19日間の挑戦で成し遂げました。

 

レオーネからWRCにスポット参戦していたスバルは、さらにスバルのブランドイメージを浸透させるためにWRCにフル参戦することになりました。

WRCデビュー戦は、サファリラリー。グループA全盛期で、ランチア デルタインテグラーレ全盛期。それに、トヨタ セリカGT-FOURや三菱ギャランVR-4が台頭してきたころです。グラベル(未舗装路)では最速ながらマシンの信頼性が低くトラブルに悩まされてなかなか優勝とはなりませんでした。

WRCで優勝するためには熟成期間が必要だったのです。1993年、次期マシンが一回り小ぶりなボディのインプレッサに決まり最後のWRTCとなったニュージーランドラリーで悲願の初優勝を成し遂げたのです。ドライバーは、今はなきコリン・マクレーです。

 

見事に、スバルを危機から救った初代レガシィはスバルの救世主でしょう。

 

 

セダンに力を入れた2代目レガシィ (1993~1998年)

 

WRCの主役はインプレッサに譲った2代目レガシィ。

しかし、EJ20は、ツインターボ化されスポーツセダンとしてはさらに進化しました。世界初の280PSを達成したハイパワーモデルでもあります。2500cc水平対向4気筒そしてさらに大排気量の3000cc水平対向6気筒とエンジンバリエーションも豊富になりました。

ボディサイズは、5ナンバーながらデザインは洗練され、室内もスポーツセダンに相応したモノに。ワゴンよりもセダンに力を入れた2代目レガシィの目論見は大当たり。スバルを代表するスポーツセダンにのし上がりました。

 

 

栄光のB4 3代目は、大ヒット! 3代目レガシィ(1998~2003年)

 

レガシィセダンはB4のネーミングに。B4は、水平対向エンジンのボクサーのBと4WDの4から命名されました。それまであった廉価版のFFがなくなり全車4WDになりました。

ボディサイズは、3ナンバー化の議論がなされましたがあえて5ナンバーサイズの全幅1695mmに拘りました。特徴的なのが、ヘッドライトが上下2段式の2灯式になったことでしょう。

 

ポルシェがデザインを監修したブリッツエンや400台限定のレガシィS401 STi versionなどの特別仕様車も登場しました。もはや、スポーツセダンの中心的存在にまで成長したレガシィの人気は高まるばかりです。

セダンでは、3000ccの大排気量水平対向6気筒エンジン搭載のRS30などステイタスが高いグレードも登場しました。

 

 

3ナンバーボディに拡大された4代目~走りのモデルからラグジュアリーへ 4代目レガシィ(2003~2009年)

 

満を持して3ナンバーサイズとなったレガシィ。輸出仕様車の衝突安全性の向上のためでしたが、3代目までのスポーツセダンからラグジュアリーセダンへ舵を切りなおしたモデルです。

3代目までのレガシィで聞けたボクサーサウンド、あの水平対向エンジン音は、等長エギゾーストマニーホールドの採用で消滅してしまいました。

従来からのスバルファンは、ガッカリしたかもしれません。しかし、あの水平対向の独特なエンジン音がなくなってさらに一般受けするようになりました。

2~3代目で採用されていたツインターボはシングルターボに改められ、ツインターボであった息つきを解消させたのです。

 

4代目レガシィは、パトカーにも採用されこのモデルから覆面パトカーも登場しています。

2007年は、STIの402台の限定車「tuned by STI S402」があります。ブリスターフェンダーにブレンボの特注ブレーキそして2500cc水平対向ターボエンジンが搭載され従来からの走りのレガシィファンの要望に答えています。

 

 

 

さよなら レガシィ~熟成の現行モデル 5代目(2009~2014年)・6代目(2014年~)

独特なデザインのヘッドライトが印象的な5代目レガシィ。ホークアイと呼ばれ、インプレッサにも採用されているデザインです。サイズは、さらに拡大され全幅1780mmで居住性が高められています。レオーネ以来採用されてきたスバル伝統のサッシュレスドアは、安全性の面からサッシュ付きドアに改めらえました。

 

5代目レガシィから2000ccの排気量エンジンは消滅して2500ccの水平対向エンジンに改められました。まぁ、ボディ大きくなったのとレガシィのイメージアップのために大排気量エンジンに昇格させたのでしょう。

 

5代目レガシィは、日本のハコ車レース・スーパーGTのGT300クラスに参戦しています。2009年からの参戦で、2010年鈴鹿で初優勝をしています。中身はWRC用の高性能EJ20ターボエンジンとボディのみレガシィだったのですがその雄姿はスバリストの誇りです。2012年にレース用BRZがデビューするまでのレーシングマシンでした。

 

続く、6代目もレガシィのボディ拡大路線も止まることはなくボディサイズは、トヨタ・クランにも匹敵するほど巨大化しました。日本で販売する台数よりも輸出先の北米用の車になってしまったレガシィ。スポーツセダンの称号はWRXに譲ったようです。もはやライバルは、プレミアムセダンのトヨタ・クラウンです。

プレミアムセダンでありながらシンメトリカルAWDで悪路走破性能が高いことをアピールしましたが、もはや世の中はSUVブーム。吹き荒れるセダン氷河期をどうやら乗り越えられず、ニューモデルではセダンのB4が投入されず消滅してしまうのは長年のB4ファンとしてはなんとも寂しい限りですね。

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