1980年代のホンダモデルには、多くのモデルでリトラクタブルヘッドライトを搭載していました。車をスタイリッシュに魅せるだけでなく、低フォルムであるホンダモデルにはピッタリなアイテムであったといえます。
リトラクタブルヘッドライトって何?と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。ここでは、リトラクタブルライトってどんなライトなのかや、なぜリトラクタブルライトが消滅していったのかなどのお話、そして同ライトを装着したホンダモデルをご紹介します。
リトラクタブルヘッドライトってどんなライト?
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
空気抵抗を低減させるためには、フロント部分が低ければ低いほど有利と言われていました。ただその前部には、ヘッドライトが鎮座しており、さらにヘッドライトは安全上の観点から最低地上高も規定されていました。
こういった問題を解決するために、ライトを点灯したいときだけヘッドライトがオープンし、さらに点灯するときに高さを維持できるライトとして、リトラクタブルヘッドライトが設計され登場しました。
リトラクタブルライトの歴史って?
このタイプのヘッドライトの歴史は非常に古く、アメリカのコード社が少生産したコード810が起源と言われています。一方日本では、1967年のトヨタ2000GTで初採用となり、1970年代後半からスポーツカーを中心に装備され始めています。そして1980年代に入ると、ホンダがリトラクタブルヘッドライト積極的に搭載しました。
リトラクタブルライトが無くなっていった理由?
主な理由
- オープン時の空気抵抗増大や、開閉機構の追加パーツによる車両重量増でスポーツ走行に向かない
- 開閉機構の部品点数が増えることで、コスト面がアップする
- 対人事故などの際に、突起物となるリトラクタブルヘッドライトが危険になる
- ライトの開閉が凍結や故障で行われなくなり、安全保安上問題がある
上記のような理由や、アメリカ・カナダの一部などでは、ヘッドライトの最低地上高緩和とヘッドライトの常時点灯義務、リトラクタブルヘッドライト自体の必要性のない国などが増加していき、消滅していったということでしょう。
①リトラクタブルなプレリュード
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
初代ブレリュードは、1978年から販売されています。日本車初の電動サンルーフが採用されたり、ABS、4WS、ATTSなど当時の最新技術を盛り込んだフラッグシップモデルでした。
1982年から2代目プレリュードが登場し、同モデルからリトラクタブルヘッドライト装備となりました。先代モデルよりも80㎜ほどエンジンフードが下げられ、リトラクタブルライトの効果によって低フォルムに仕上げられています。
3代目プレリュードは、1987年から販売開始になっています。先代のデザインを継承したことで、リトラクタブルヘッドライトも継承されました。先代では、フロントにダブルウィッシュボーンサスペンションを採用したのに対し、同モデルでは4輪ダブルウィッシュボーンに進化させています。
2代目プレリュードの主要諸元など
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
主要諸元
- 販売期間 1982年から1987年
- 乗車定員 4人
- ボディタイプ 2ドア ノッチバッククーペ
- エンジン ES型1.8L直列4気筒SOHC・B20A型2.0L直列4気筒DOHC ベルト駆動エンジン
- 駆動方式 FF
- 変速機 5速MT/4速AT
- サスペンション 前ダブルウィッシュボーン・後マクファーソンストラット
- 全長×全幅×全高=標準4,295/Si4,375×1,690×1,295㎜
- ホイールベース 2,450㎜
- 車両重量 955から1,060kg
②リトラクタブルなアコード
引用:引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
アコードは、1976年に初代モデルが販売開始になっています。シビックよりもワンランク上位のモデルとして企画され、ハッチバックモデルから販売されています。その後ノッチバックタイプの4ドアモデルも併売となりました。
1981年から2代目アコードが販売開始になりました。全車クルーズコントロールが装備され、オートレベリングサスペンションなどもチョイスできるモデルでした。カーナビも世界初で採用され、高級感をプラスしたモデルとしての位置づけとなりました。
3代目アコードは、1985年から販売開始になっています。日本、北米、オセアニアではリトラクタブルヘッドライトが採用され、欧州では異形4灯ヘッドランプが搭載されていました。この頃から世界情勢がヘッドランプ常時点灯義務化に動き始めたときとなっています。
アコードは、この3代目だけがリトラクタブルヘッドライトを採用しています。その後のモデルでも同ヘッドライトが採用されることはありませんでした。
3代目アコードの主要諸元など
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
主要諸元
- 販売期間 1985年6月から1989年8月
- 乗車定員 5人
- ボディタイプ 4ドアセダン・2ドアクーペ・3ドアハッチバック(エアロデッキ&ファストバック)
- エンジン A18A型1.8L 直列4気筒SOHC・B18A型1.8L 直列4気筒DOHC・B20A型2.0L 直列4気筒DOHC・A20A型2.0L 直列4気筒SOHCエンジン
- 駆動方式 FF
- 変速機 5速MT/4速AT
- サスペンション 前ダブルウィッシュボーン・後ダブルウィッシュボーン
- 全長×全幅×全高=4,535×1,695×1,355㎜
- ホイールベース 2,600㎜
- 車両重量 1,000から1,150kg
③リトラクタブルなクイントインテグラ
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
初代モデルは、1985年から販売開始になりました。この時のモデル名は、クイント インテグラと名付けられました。スポーティなイメージを出すために全車DOHCエンジン搭載となり、リトラクタブルヘッドライトを採用したことで、さらにスポーティを強調したモデルです。
当時米国で高級ブランドとして展開していたアキュラ第2弾として、アキュラインテグラとしても販売されていました。第1弾モデルは、レジェンドです。
2代目からは、クイントの文字が無くなりインテグラとして販売されています。インテグラは、4代目モデルまで販売されていますが、リトラクタブルヘッドライトを採用したのは、初代のみです。
クイント インテグラの主要諸元など
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
主要諸元
- 販売期間 1985年から1989年
- 乗車定員 5人
- ボディタイプ 3ドアハッチバッククーペ・5ドアハッチバックセダン・4ドアノッチバックセダン
- エンジン ZC型1.6L 直列4気筒DOHC・ZC型1.6L 直列4気筒DOHCキャブ・EW型1.5L 直列4気筒SOHCキャブエンジン
- 駆動方式 FF
- 変速機 5速MT/4速AT
- サスペンション 前トーションバーストラット・後トーションビーム
- 全長×全幅×全高=4,280から4,380㎜×1,665㎜×1,345㎜
- ホイールベース 2,450㎜から4/5ドア2,520mm
- 車両重量 3ドア890から1,010kg
まとめ
リトラクタブルヘッドライト全盛のホンダモデルたち!アコード、プレリュード、クイントインテグラをまとめると
- リトラクタブルヘッドライトは、日本では1970年代後半から1980年代後半くらいまで流行った仕様です。
- ホンダモデルは、1980年代から多く採用されています。
- 残念ながら、ホンダでリトラクタブルヘッドライトを採用しているモデルは現在ないです。
今回は、リトラクタブルヘッドライトってなんだろうというお話や、ホンダモデルで同ヘッドライトが多く採用された時期やモデルのご紹介をしました。