一連の燃費偽装問題により、一時は経営破たん直前まで追い詰められた三菱自動車。2016年、日産自動車が三菱自動車の筆頭株主となり、日産のカルロス・ゴーン社長が三菱自動車の会長に就任。なんとか倒産の難を逃れました。
まだまだ前途多難な三菱自動車。これが初めてではないだけに、信用の失墜はあまりに大きく、熱心な三菱ファンも今回は見放したかもしれません。
三菱自動車の車が無くなっても、一般の人にはほぼ影響はなく「そんな会社なんかなくていい」と言う人もいるかもしれません。しかし、これまで世に出た三菱車は、一癖も二癖もある独特の味がある車種が多く、偽装をはじめとする一連の騒動は残念でなりません。
企業としてのこれからの三菱自動車は、新しい経営陣とゴーンさんに任せるとして……ここでは現在発売されている各モデルを勝手に応援してみます。もちろん、いよいよ2018年にデビューする新型車エクリプスクロスの最新情報もお伝え! 最後までお見逃しなく!
再販されたeKワゴンとeKスペースはどうなった?
photo by Kuha455405(CC BY 3.0)
「eKワゴン/ eKワゴンカスタム」の燃費は、30.4km/Lから25.8km/Lに、「eKスペース/eKスペースカスタム」は、26.0km/Lから22.0km/Lへと修正されています。低燃費が売りの一つであったのが、ライバルから大きく引き離されて、一昔前の軽自動車並みになってしまいました。
急に燃費が悪くなったわけではなく、表示が変わっただけなのですが、同クラスでこの差は大きすぎます。特に経済性を求めて軽自動車を選ぶわけですから、せめてライバルと1~2km/L差に収めていないと、「実質同じぐらいですよ」とも言いづらいのです。
実際の燃費データを集めて、独自の統計を公表している「e燃費」を見ると、確かに三菱自動車の 「eKワゴン」で最も良い燃費は19.0km/L程度で、ランキングは下位。しかし、トールワゴンでトップの「ワゴンR」でも22.0km/L程度であり、意外と差は少ないのです。
軽自動車は軽量化によって燃費を引き出している割合が多く、乗車人数や荷物の量だけでもかなり燃費は変わってきます。それでもカタログ燃費の差はインパクトが大きく、さほど意識しない人も、三菱車だけはまず燃費に注目してしまい「やっぱり燃費は悪かったのね」ということになってしまいます。
それでも値引き額だけはライバルより多いはずなので、当面は値引き交渉にかけるしかありません。現在オプション類を10万円ほどサービスするキャンペーンも行っているため、最大限利用すればお買い得かも知れません。
三菱自動車最大のウリといえば「SUV」
今回の騒動で、軽自動車ばかりに注目が集まりますが、三菱自動車の主力車種と言えば、軽自動車だけではなくSUVとEVなのです。
特にSUVに関しては、かつて大型SUV「パジェロ」がブームを起こしたあとも、「RVR」や「アウトランダー」など、他社に先がけてラインナップし続けています。現在の主力は「アウトランダー」。これからブームになる可能性を秘めた3列シートを設定するSUVとして、また、これからの低燃費車の本命と言われるプラグインハイブリッドの「PHEV」まで備えているのです。
時代を先取りしたアウトランダーPHEV
photo by DY5W-sport
この「アウトランダーPHEV」、話題となった新型プリウスPHVの、EVとしての走行距離約60km/Lをすでに達成しているのです。
宣伝下手なのかあまり注目されませんが、プリウスPHVと同等の経済性能を持つ、クロスオーバーSUVは、国内はおろか世界でもこのアウトランダーPHEVぐらいのものです。もちろん、安価なガソリン車も、251万円台から取り揃えています。
もっと先取り三菱自動車のEV
もうひとつの主力「EV」ですが、「i-MIEV」「ミニキャブ・ミーブ」「ミニキャブ・ミーブトラック」と、 EVのラインナップは国内最強、「ミニキャブ・ミーブトラック」は158万円台からと、EVが身近に感じられる設定で地道に普及し続けているのです。
もともと長距離ではなく、シティコミューター狙いのEVですから、ベースに軽自動車を選んだのは大正解。三菱自動車のEV技術は海外でも評価は高く、「i-MIEV」はプジョーに「iOn 」、シトロエンには「C-ZERO 」という名称でOEM供給もしているのです。「アウトランダーPHEV」も、このEV技術があってこそ可能になったのです。
それにしても、ガソリン車は生産が終わっていますが、「i-MIEV」のベースとなった「i」のデザインは凄いと思いませんか?2006年の発売ながらも、いまだにこれを越えるデザインの軽は出現していません。しかも、リア・ミッドシップ という凝ったエンジンレイアウトはEVにぴったりのベースとなったのです。
さらに、この「i」のエンジンは999ccに拡大され、2007年から発売された第二世代の「スマート」にも採用されているのです。
4年間の沈黙を経ていよいよデビュー!エクリプス クロス
そして、2017年3月。三菱自動車はジュネーブモーターショーにおいて、三菱自動車は4年ぶりとなる新型車「エクリプス クロス」を発表。海外では既に発売されており、国内販売も今年3月を予定しております。
フロントは「ダイナミックシールド」と呼ばれる三菱独自のデザインコンセプトを採用。ヘッドライトを含め、大型ブラックグリルを中心にX字を描くデザインは、スペシャリティカーらしい迫力のある顔に仕上がっています。
サイドビューを見てみると、前方へと傾斜していくサイドラインがクーペらしさを強調しつつ、大きく張り出したブラックのワイドフェンダーにより、この車がSUVであることを主張しています。サイドラインから続くリアビューはラインに合わせて成形されたリアランプなどにより立体感があります。リアスポイラーも配置され、デザインの処理はギャラン フォルティスとの類似も感じられる三菱らしいものとなっています。
また、黒を基調にしたインテリアデザインは、直線的に配置されたシルバーのラインがアクセントとなり、高い質感を生み出しています。ダッシュボードの上部に配置されたインフォメーションディスプレイや操作系の配置は目新しさこそないものの、基本をしっかり押さえた快適さを予感させるものに仕上がっています。シートは赤いステッチの入った本革を思わせるものが採用されており、インテリアの質感を一段と高めています。一風変わっているのがセンターコンソールに備えられたタッチパッド、ダイヤルが主流の昨今、これは面白いポイントです。
日本車らしいインテリアデザインの特徴を押さえつつ、スペシャリティカーらしい質感の高さを備えており、とても安定感のあるデザインで好感が持てます。
先日14日まで開催された東京オートサロン2018でも、さっそくエクリプス クロスのカスタマイズモデルが展示され、訪れた人にエクリプス クロスの新しいカタチを提案していました。また、東京オートサロンの開催にあわせ、「Special NIGHT SHOWROOM」と銘打ったイベントも開催。インターネット経由でエクリプス クロスに関したトークショーを閲覧することができます。
これからが正念場!頑張れ三菱自動車
その他にも、クリーンディーゼルエンジンの「デリカD:5」や「パジェロ」等、最新テクノロジーに関しては他メーカーに負けていない三菱自動車。
どうです?応援したくなりませんか?今すぐには難しくても、またきっと素晴らしいクルマを作ってくれる日が来るのではないでしょうか。