三菱復活の原動力となるか?「エクリプス クロス」世界初公開

     
   

2017年3月のジュネーブモーターショーにおいて、三菱自動車は新型SUV「エクリプス クロス」を発表しました。多くの車好きの心をくすぐる「エクリプス」という名称をひっさげて登場したこの新型SUVがいったいどんな車なのか、迫ってみようと思います。

世界初披露! 三菱・エクリプス クロスとは?

エクリプス クロスは、2017年現在流行しているクーペ的なデザインを取り入れたSUVです。トヨタやホンダなど国産自動車メーカーからBMWやマセラティと、国産・輸入車問わず各メーカーがラインアップをそろえ、激しい戦いを繰り広げています。

この種のSUVに求められるのは、クーペらしい流麗なスタイリングとSUVらしい使い勝手、洗練されたインテリアデザインなどから得られる、コンパクトカーやセダンにはない所有満足度の高さです。

では、エクリプス クロスにはそうした所有満足度の高さは望むことができるのでしょうか? デザインやスペック、ライバル車との比較などから、エクリプス クロスが三菱自動車復活の原動力となるのかどうか、見てみましょう。

三菱の名車「エクリプス」の名が復活

エクリプスという車を知らないという方のために少しだけ。三菱 エクリプスとは、かつて三菱自動車が北米市場向けに開発・販売していたFF(フロントエンジン フロントドライブ)の2ドアスポーツクーペです。初代はランサーエボリューションにも搭載されていた名機4G63型エンジンを搭載、スポーツ志向の強いモデルでした。代を重ねる毎にスポーツからラグジュアリー方向にシフトしていき、エンジンも日常トルクを重視した3.0L V6エンジンなどが採用されるようになりました。

つまりエクリプスはスポーツクーペではなくラグジュアリークーペ。このラグジュアリークーペというイメージをそのまま新型SUVへとシフトさせたいために、エクリプス クロスと名付けられたのではないでしょうか?

エクステリアはまさに「クーペ」ライクなSUV

photo by 三菱自動車工業株式会社

フロントは「ダイナミックシールド」と呼ばれる三菱独自のデザインコンセプトを採用、ヘッドライトを含め、大型ブラックグリルを中心にX字を描くデザインは、スペシャリティカーらしい迫力のある顔に仕上がっています。サイドビューを見てみると、前方へと傾斜していくサイドラインがクーペらしさを強調しつつ、大きく張り出したブラックのワイドフェンダーにより、この車がSUVであることを主張しています。サイドラインから続くリアビューはラインに合わせて成形されたリアランプなどにより立体感があります。リアスポイラーも配置され、デザインの処理はギャラン フォルティスとの類似も感じられる三菱らしいものとなっています。

質感の高いインテリアデザイン

photo by 三菱自動車工業株式会社

黒を基調にしたインテリアデザインは、直線的に配置されたシルバーのラインがアクセントとなり、高い質感を生み出しています。ダッシュボードの上部に配置されたインフォメーションディスプレイや操作系の配置は目新しさこそないものの、基本をしっかり押さえた快適さを予感させるものに仕上がっています。シートは赤いステッチの入った本革を思わせるものが採用されており、インテリアの質感を一段と高めています。一風変わっているのがセンターコンソールに備えられたタッチパッド、ダイヤルが主流の昨今、これは面白いポイントです。

日本車らしいインテリアデザインの特徴を押さえつつ、スペシャリティカーらしい質感の高さを備えており、とても安定感のあるデザインで好感が持てます。

ディーゼルターボもラインアップ、ライバルはCX-5を想定?

photo by 三菱自動車工業株式会社

2017年現在の情報では2.2Lクリーンディーゼルターボエンジンをラインアップしていることが判明しており、この仕様に関してはマツダCX-5がライバルと予想されます。駆動方式は電子制御4WDのみが現在公表されています。FFベースの4WDシステムは、三菱がランサーエボリューションシリーズの開発で培ってきたもので、エクリプス クロスにもAYC(アクティブ ヨー コントロール)など懐かしの技術はしっかり搭載されています。マツダでも4WDシステムは開発されていますが、パリダカなどレースシーンで技術を培ってきた三菱のほうが、一日の長があるものと思われます。

全長×全幅×全高 4,405 mm× 1,805 mm × 1,685 mm
ホイールベース 2,670 mm
トレッド前 / 後 1,545 mm / 1,545 mm
エンジン/ トランスミッション 1.5L ダウンサイジング直噴ターボ / CVT
2.2L クリーンディーゼルターボ / 8AT
駆動方式 電子制御 4WD

ライバルとなるクーペスタイルSUV

ホンダ ヴェゼル

クーペライクSUVとしてまずライバルにあげたいのが、大ヒットモデルのホンダ ヴェゼルです。フィットと共通のプラットフォームにより優れたパッケージングを備えつつ、エクステリア・インテリアともに質感が大きく向上させているのが特徴です。ハイブリッドもラインアップ、価格に割安感があるため大ヒットとなりました。フィットベースと考えると他のライバル車種からワンクラス下に思われますが、販売実績はすさまじく、同ジャンルの車として無視できない存在です。

トヨタ CH-R

4代目プリウスとプラットフォームを共通する、プリウスベースのSUVと言うべき車がCH-Rです。エクステリア・インテリアともにデザインが非常に秀逸で、ハイブリッドも当然ラインアップ。発売前から大ヒットが予想され、その通りとなった恐るべきモデル、クーペライクSUVを語る上で、外すことのできない車です。

マツダ CX-5

エクリプス クロス最大のライバルと目されるのが、スペックでも少し触れたマツダ CX-5です。日本製クリーンディーゼルエンジンの性能を世に知らしめ、経営危機にあったマツダを救い、ブランドイメージを高めることに成功した、実績ある車です。

同じくクリーンディーゼルターボエンジンを搭載するエクリプス クロスとしては避けては通れない相手。デザイン・性能ともに強敵と言って良いでしょう。

ヒットすれば三菱復活の原動力となり得る

クーペライクSUVとしてエクリプス クロスは、非常によくまとまった車だと言えるでしょう。デザインの質感も良く、車両のコンセプトも市場にマッチしています。ハイブリッドではなくライバルの比較的少ないクリーンディーゼルをラインアップに加えていることもポイントで、大ヒットとなれば日本における三菱自動車の立て直しも夢ではないでしょう。三菱にとってはまさに正念場、是非とも完成度の高い車に仕上げ、世に送り出して欲しいものです。

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