出典元:https://carsmeet.jp/2018/11/14/83262/
ジャガー・Fタイプコンバーチブル ラリースペシャルとはどんな車?
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ジャガーのスポーツカーとして人気を誇るFタイプに、ラリーカーが登場しました!「ジャガー・Fタイプコンバーチブル ラリースペシャル」です。
一体何がスペシャルなのでしょうか。ジャガー・Fタイプコンバーチブル ラリースペシャルの数々の魅力をご紹介します。
ジャガーのスポーツカー誕生70周年を記念して2台のみ生産
ジャガー・Fタイプコンバーチブル ラリースペシャルは「XK120」発売から70周年を記念して生産されました。
1948年に発売された「XK120」は、ジャガーとして初めてのスポーツタイプカーであり、曲線美を活かしたデザインや機能性、そして他社の同レベルの車と比較して手が出しやすい価格に抑えられていたことから、アメリカを中心に人気を博した1台です。
そんなアニバーサリーカーですが、生産台数はたったの2台。実際にラリー走行はできませんし、市販化の予定もありません。それでいて、後述する装備への注力は相当のもの。
ジャガーの歴史に未だ燦然と輝く「XK120」への大きなリスペクトゆえではないでしょうか。
2リッターターボのインジニウムエンジン搭載
ジャガー・Fタイプコンバーチブル ラリースペシャルには、2.0リッター直列4気筒ガソリンターボインジニウムエンジンが搭載されています。最大出力はジャガーのインジニウムエンジンの中では最高の300psを誇ります。
インジニウムエンジンは全面アルミニウムを採用しており、非常に軽量なのが特徴です。またベアリングのなめらかな動きと相まって低燃費を実現しています。
さらに環境面ではCO2排出量を低く抑えており、ジャガー・Fタイプコンバーチブル ラリースペシャルは「話題性だけ」ではないことが分かります。
FIAのラリー競技車に準じた装備
ラリーカーでありながらラリーで走らせるつもりはないジャガー・Fタイプコンバーチブル ラリースペシャルですが、FIAのラリー競技車の基準はしっかりとクリアできる装備です。
横転時に乗員が押しつぶされないよう保護するロールケージはもちろんのこと、レーシングシートは6点支持ハーネスタイプ、ジャガー・F コンバーチブルのスタイリッシュなノーズ部分には4つのライト・ポッド、そして消化器。
ジャガーがラリー・フィールドに返り咲きか?と期待が高まってしまいますが、残念ながらFIAへの申請は行われないようです。
グラベル用装備により走行もラリーカーそのもの
グラベル走行のためにボディー底面はしっかりと保護されています。
装着タイヤはグラベル用16インチホイールを採用し、このタイヤのグリップ力はラリーカーの中でもハイレベル。また、後輪駆動でありながら駆動力も十二分といえるでしょう。
更に、イギリスExe-TC製のダンパーによるサスペンション性能は非常に高く、本格的な段差に対する衝撃吸収は難しいものの、石が多めのグラベルロード程度では問題ありません。
一方でラリーカーらしからぬ一面も
砂塵が舞い上がる中、もしくは泥水を跳ね上げながら走るラリーカーでありながら、ジャガー・Fタイプコンバーチブル ラリースペシャルはオープントップを採用しています。
オープントップのラリーカーが存在しないわけではありませんが、ラリー参戦の予定がないからこそこの形状に踏み切ったという可能性は十分にあります。
また2.0リッター4気筒ターボエンジンも少し非力な印象です。増強に踏み切らなかった理由もまた、オープントップにした理由と重なるのでしょうか。
ジャガー以外にも近年登場した後輪駆動スポーツカーベースのラリー仕様車
出典元:https://www.as-web.jp/rally/399869/attachment/m18_3892_fine
ラリーに参戦する車両は、グループによっては駆動方式の変更が認められていますが、ベースカーとなるスポーツカーの後輪駆動をそのまま移植したラリーカーが登場しています。
ロータス・エキシージR-GT
2011年にフランクフルトモーターショーにお目見えしたロータス・エキシージR-GTは、ジャガー・Fタイプコンバーチブル ラリースペシャルと同様に後輪駆動(MR)のスポーツカーをプロトタイプとして製作されました。
元となったのが同年にオープンとなったロータス・エキシージSと呼ばれる2ドアクーペです。3.5リッターV6エンジンを搭載しており、これをそのままロータス・エキシージR-GTが引き継いでいます。
アバルト・124 ラリー
2シーターのスポーツカー、アバルト・124 スパイダーをベースとして作られたのがアバルト・124 ラリーです。
後輪駆動で押し出されるボディーの重量が1050kgと非常に軽く、全体的に小さめのサイジングですが、ウインドスクリーンの角度が立ち上がっているおかげで非常に視界が良いのが特徴です。
また軽量ゆえにドライバーの意図を瞬時に汲み取る素直さがある1台です。
ポルシェ・ケイマン GT4クラブスポーツ ラリーコンセプト
ポルシェのラリーカー、ケイマン GT4クラブスポーツ ラリーコンセプトのベースとなっているのがケイマン GT4クラブスポーツです。
公道走行は不可ですが、FIA認定をクリアしているため、購入したら即サーキット走行ができるハイスペックレーシングカーで、シングルシーターとなっています。
旧型911カレラS譲りの3.8リッターV6エンジンを搭載した後輪駆動で、ラリー用タイヤと軽量ホイールを組み合わせて軽量化を図っています。
ハッチバックが多いラリーカー、ラリーマシンに規定はある?
出典元:https://genroq.jp/2018/11/10463/jaguar_f-type_rally_special_10_121118/
見るからに悪路に強そうな車両ではなく、コンパクトなハッチバックばかりが目立つ近年のラリー・フィールド。これには何か理由があるのでしょうか。
ラリーカーの認定基準や分類についてご紹介します。
WRCに参戦するWRカーの規定
FIA世界ラリー選手権(WRC)に参加できる専用車両WRカー(ワールドラリーカー)は、国際自動車連盟が定めるグループAに属しています。これはいわゆる量産車のグループです。
公認となるのは、1年間に2500台以上生産された車、かつ4人乗り車両となっています。この車から変形した車両を用いたいときにはプラス2500台、スポーツエボリューションの場合はプラス500台を生産しなければなりません。
駆動方式については、2WDモデルをラリー用として4WDへ変更してもOK。ボディーサイズの拡張やリアサスペンションをラリー向けに変更するなども可能です。
2011年に、エンジンは1.6リッターターボ搭載という規定となりました。日本車の1.6リッターエンジン車を考えると小型車が多い傾向にあります。
またラリーでの走行性能・運動性能から見てもベースとなる車はコンパクトな方が有利だと考えられています。 そのため、特に規定はないもののWRカーとしてハッチバックタイプが増加したのです。
グループR規定
国際競技車両規則で「ツーリングカーまたは大規模量産車プロダクションカー」とされるのがグループRです
量産車をベースにするという点はグループAと共通していますが、グループRは車へどれぐらい手を加えるかによって更にグループ分けがなされています。
まずは駆動方式による分類があり、2輪駆動のR1〜3、4輪駆動のR4,5の5分類です。グループAと同じく1年間で2500台以上生産の4座席という制限があるため、グループAもパスしなければなりません。
更に排気量、過給排気量、気筒数などの5条件が加わり、合計10クラスに分類されることになります。
グループ | クラス | 駆動方式 | 燃料 | 気筒数の上限 | 給排気量(cc) | 自然給排気(cc) |
R1
|
R1A |
2WD
|
ガソリン
|
6気筒
|
〜972 | 〜1390 |
R1B |
972〜1067
|
1390〜1600
|
||||
R2
|
R2B | |||||
R2C |
1067〜1333
|
1600〜2000
|
||||
R3
|
R3C | |||||
R3D | ディーゼル | 〜2000 |
過給限定
|
|||
R3T |
ガソリン
|
4気筒 | 〜1620 | |||
R4 |
4WD
|
FREE | 2000以上 | |||
(R4キットカー) |
4気筒
|
1600固定
|
||||
R5 |
プロダクションカーのグループN
最も市販車両に近いのがグループNです。こちらは「プロダクションカー」と呼ばれ、低限度の改造しか認められていません。
またグループNもグループRと同様、年間生産台数が2500台以上のグループAの認定を受ける必要があります。
車両の改造は、主に安全性を向上させる目的で認められているため、消火設備やロールゲージ、サスペンションの変更などは可能になっています。
しかしエンジン周りや地上高などは申請値遵守。ですからベースカーのスペックを引き上げておかなければなりません。
規定上、WRCの参加資格を得ることはできますが、グループAのように改造を施した車両と戦うのは非常に難しいため、あまり参戦しないのが現状です。