出典元:https://www.honda.co.jp/LEGEND/webcatalog/styling/design/
ホンダのフラッグシップセダン、レジェンドとは?
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かつてのバブル期には日産のシーマと並んで国産高級車の代表的存在であったホンダ・レジェンド。
長い歴史を誇るホンダのフラッグシップモデルですが、一度は生産終了という苦難を経てまた現代に蘇ったモデルでもあります。
ここでは歴代ホンダ・レジェンドの魅力についてご紹介していきましょう。
ローバー(BL)と共同開発した初代レジェンド(KA1~6)
出典元:https://www.honda.co.jp/news/1985/4851022.html
ローバー(BL)と共同開発、クーペもラインナップ
1985年に登場した初代レジェンドは、ホンダ初となる3ナンバー車、かつ初の高級車クラスのモデルという、初尽くしのものでした。
それまで高級車を生産したことがなく、自社の開発に自信がなかったのかどうかは定かではありませんが、このレジェンドの開発にあたっては当時ホンダが業務提携を結んでいたブリティッシュ・レイランドと共同開発したという経緯があります。
ブリティッシュ・レイランドはレジェンド登場の翌年にあたる1986年に社名をローバー(BL)へと変更しました。(以下、この記事ではローバー(BL)と記載します。)
この当時のローバーはランドローバーやジャガー、デイムラーなど高級車のノウハウを持った部門を多数保有していました。そのノウハウをホンダは活かそうと考えたのでしょう。
ローバーの開発担当者が日本に滞在し、高級車としてのセッティングなどを熱心に指導したといいます。
発売時は4ドアセダンのみのラインナップでしたが、1987年には2ドアハートトップクーペがラインナップに追加されました。
日本車初の運転席エアバッグ、FF車で世界初のトラクションコントロール搭載
今では当たり前となっている運転席や助手席のエアバッグですが、日本においてはこの当時まだ一般的なものではありませんでした。
この初代レジェンドは日本車として初めての運転席SRSエアバッグが搭載されたモデルでもあります。1987年のことでした。ちなみに北米向けモデルでは1986年から搭載されていたようです。
現在も優れた先進安全機能、ホンダセンシングなどに定評のあるホンダですが、この当時から安全への意識は非常に高かったことが窺えますね。
また1989年には雪道やぬかるんだ道などでの発進時や加速時にタイヤが空転するのを防ぐトラクションコントロールもFF車としては世界で初めて搭載されました。
スーパーレジェンドとも呼ばれた二代目レジェンド(KA7/8)
出典元:https://www.honda.co.jp/news/1990/4901024.html
FFミッドシップレイアウト、専用デザインのクーペもラインナップ
二代目は1990年に登場。前年の1989年に登場したアコード・インスパイアに採用されたホンダ独自のレイアウト、FFミッドシップを採用したこのモデルは「スーパーレジェンド」との異名を持つモデルになりました。
ホンダはあの伝説のF1レーサー、アイルトン・セナが開発にかかわったスポーツカー、NSXを同年にデビューさせています。
二代目はそのNSXの開発で培った技術を活かし、ニュルブルクリンク北コースでのテストを行うなど厳しい基準をもとに開発されました。高級車でありながらもホンダらしい走りが実感できるモデルになっています。
また、この二代目モデルまで専用デザインの2ドアクーペがラインナップされました。
日本車初の助手席エアバッグ、ホンダナビゲーションシステム搭載
初代モデルは運転席のSRSエアバッグが日本車初であることは先にもご紹介しましたが、この二代目モデルは助手席のSRSエアバッグを日本車で初めて搭載したモデルになります。
また、地図検索システムやテレビ、ラジオが受信でき、さらに電話機能もついたホンダナビゲーションシステムもオプションで用意されました。
スポーティ仕様のαツーリング追加
1992年には従来モデルから20psアップの235psの最高出力を誇るαツーリングがラインナップに追加されます。
エンジンのチューンアップのみならず、新設計の16インチアルミホイールの採用やサスペンションの設定を見直し、パワーアップしたエンジンにふさわしい走りができるように足回りも強化されました。
USDMカスタムで根強い人気のある三代目レジェンド(KA9)
出典元:https://www.honda.co.jp/news/1996/4960214.html
セダンのみのラインナップに
1996年に登場したこの三代目からクーペは消滅し、4ドアセダンのみのラインナップになりました。
日本では1991年にバブルが崩壊し、後に「失われた20年」と呼ばれることになる景気低迷期に入っていくことになります。そのためバブルのさなかに登場した二代目レジェンドとは違い、この三代目は全体的に豪華さを控えた簡素化された装備になりました。
スポーツサスのユーロと豪華装備のエクスクルーシブ
三代目には、16インチタイヤと専用チューニングされたサスペンションを備えた二代目のαツーリングに匹敵するスポーツグレードのユーロが登場。
最上級グレードにあたるエクスクルーシブには初代から続くレジェンド伝統の天童木工製本木目パネルなどを装備し、レジェンドならではの豪華さを感じさせるものになっています。
マイナーチェンジでフロントデザイン変更
1998年のマイナーチェンジでは、フロントグリルの形状が変わり、ヘッドライトが大型化。また夜間視認性をアップするディスチャージヘッドライトも装備されるなど、安全性を高めながらもより高級感と力強さあるフロントデザインへと変更されました。
SH-AWD搭載、日本車で初の280馬力オーバーとなった四代目レジェンド(KB1/2)
出展元:https://www.honda.co.jp/news/2004/4041007-legend.html
SH-AWD採用、日本車で初の280馬力自主規制超えの300馬力
初代から三代目まで続いたFFは廃止され、新開発の世界初となる四輪駆動自在制御システム「SH-AWD」を採用した四代目は2004年10月に登場しました。
「New Driving Experience=新次元のドライビング体験」を目指して開発されたこのモデルは、最高出力300psを発生。これは2004年の7月1日に280馬力自主規制解除がされたからこそ可能になった馬力です。
日本車初の自主規制越えとなったこの四代目は専門家にも高く評価され、日本カー・オブ・ザ・イヤーやRJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーなどを受賞しました。
無限コンプリートパッケージM1
出典元:http://www.mugen-power.com/automobile/archive/legend1st/m1_h.html
無限からは無限初となるコンプリートモデル「無限コンプリートパッケージM1」も登場しています。
アルミダイキャスト製の専用デザインベゼルを採用し、HIDフォグライトと一体化したスポイラーを採用。高級車の雰囲気を損なうことなく精悍な雰囲気をプラスしています。
リアデザインも専用開発のエキゾーストシステム/フィニッシャーとディフューザーと一体化したデザインに。また足回りも専用の18インチブラックメタルコートのアルミホイールが用意され、特別感のある仕上がりになりました。
無限のコンプリートモデルの歴史は、この四代目レジェンドから始まったのです。
マイナーチェンジと生産終了
2008年のビッグマイナーチェンジではエンジンの出力がさらに引き上げられ、309psの最高出力に達するように。
フロントグリルは大型化、スポイラーが一体化したトランクフードや新デザインの17インチのアルミホイールを採用するなど、エクステリアのデザインも大きく変更されました。
2010年にはホンダ初となる6速ATが採用されるなど、進化し続けたレジェンドですがセダンの人気低迷、高級車離れなどの時代の流れには逆らうことができず、2012年には生産終了となってしまいます。
3モーターハイブリッドシステムSH-AWDを搭載した五代目レジェンド(KC2)
出典元:https://www.honda.co.jp/LEGEND/webcatalog/styling/design/
スポーツハイブリッドSH-AWD搭載、海外でアキュラ・RLXとして先行発売
北米では2013年から五代目レジェンドがアキュラ・RLXとしてアキュラブランドから先行発売されていましたが、日本では2015年に日本で新型レジェンドとして復活を果たします。
バブル時代の高級車の象徴的存在であったレジェンドは、3モーターハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドSH-AWD」を搭載したハイブリッド専用モデルとして蘇りました。
時の流れというものを実感してしまいますね。
安全運転支援システム「ホンダセンシング」採用
今ではホンダの新型車のほとんどに搭載されているホンダ自慢の先進安全運転支援システム「ホンダセンシング」は2014年に誕生しました。
何かと「ホンダ初」を体現してきたレジェンドですが、やはり五代目でもそれは健在。実は五代目は、初めてホンダセンシングを搭載したモデルなのです。
このホンダセンシングは、当時世界初となる運転支援システム「歩行者事故低減ステアリング」を含む8つの機能を搭載したものでした。
マイナーチェンジで新型モデルは内外装を大幅に変更
2018年には内外装を一新する大きなモデルチェンジが行われます。
前後バンパーやフロントグリルのデザインが変更され、よりスタイリッシュで迫力のあるルックスへと進化。
インテリアではシートの形状を変更し快適性や安全性を向上するとともに随所にシルバー加飾を施し、質感アップを図りました。
生まれ変わった五代目レジェンドも歴代モデルと同じく、これからも進化を続けていってくれることでしょう。
今後時代に合わせてその姿をどのように変えていくのか分かりませんが、ホンダのフラッグシップとしてホンダの技術や姿勢を体現し続けてくれる刺激的な存在であり続けてほしいと願います。