【大注目】10年ぶりの新型ロードスター100kgの軽量化に成功!そのこだわりを徹底解説!

     
   

「だれもが、しあわせになる」
印象的なコピーと共に初代ロードスターが鮮烈なデビューを飾ってからはや25年が経ちました。

当時は誰もがこのメッセージに心をときめかせたものです。車が単なる移動手段ではなく、ドライバーの意志が直接、ロードスターという、自分の分身にストレートに伝わる。

その間には何者も存在しえず、ドライバーの感覚そのものが、ロードスターの意志であるかのように、疾走する。

発売当時は誰もがその喜びに震えたものです。

帰ってきたロードスター

そんなマツダロードスターが実に10年ぶりにニューモデルとして帰ってきます。最大の違いは重量。約100kgほどの軽量化に成功しています。

ここからは、その軽量化の秘密についてボディエンジンの2つの側面から迫っていきます。

ゼロ戦に通じるボディの軽量化策


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第二次世界大戦中の日本の名機、ゼロ戦を捕獲した米軍関係者は、分解して驚きの声を上げました。なんとゼロ戦の胴体の補強材にはところどころ穴が開けられ、軽量化が図られていたのです。

それどころか計測してみると、穴を開けたほうが、開けない鋼板よりねじれ強度が勝っていた部分もあったのです。この穴こそが、ゼロ戦の旋回性能を圧倒的に向上させ、空中戦で無類の強さを発揮させた理由の一つでした。


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マツダの技術スタッフは、1gでも軽くするためにゼロ戦と同様にシャシーやボディの補強材の問題のないところにを開けました。この、穴だらけのボディーこそ、ロードスターに与えられた飛翔への羽根です。

原点回帰したエンジン


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4代目ロードスターは、ライトウェイトスポーツカーの原点に回帰しました。

3代目の2.0Lのエンジンに比べ、4代目は1.5Lエンジンを搭載しています。給排気系などのエンジン周りのシステムを含めると、0.5L小さくなることで20kgの軽量を実現しています。

このエンジン・チョイスを可能にしたのは、コンパクトボディの設計にあります。4代目のボディは、3代目と比べて全長で105mm、全高10mm、ホイールベースで40mm短くなっています。

このボディサイズにして、1.5Lエンジンとのスポーティーなパワーバランスを可能にしました。また、エンジンばかりでなく、トランスミッションやリアディファレンシャルギアなどの、ドライブトレイン系も実に20kgの軽量を可能にしました。

さらにロードスター用の小型・軽量のFR用SKYACTIVE-MTを新開発、熱効率を改善することでオイルクーラーを廃止する構造革新、ウォーターアウトレットの樹脂化などの材料を採用することでさらに軽量化を進めたのです。

最大のライバル「ホンダS660」との比較

先日発売されたホンダS660。ここからは、近しい距離にある両車両を比較することで、マツダ新型ロードスターの特徴を浮かび上がらせていこうと思います。

▼過去記事▼
手が届く値段なのが逆に怖い…200万円台で買える異例だらけのホンダのスポーツカーS660は何がすごいのか?

価格

車種 モデル 価格
新型ロードスター 標準モデルS 6速ミッション 249万4800円
S660 標準β 6速ミッション 198万円

4代目ロードスターの標準モデルSの価格は、6速ミッションが249万4800円(税込み)です。

オプションは、減速時エネルギー回生システム、i-ELOOPとアイドリングストップのi-STOP。さらに、ナビゲーション用カードにバックモニター、ETCのスマートインなどが便利です。

パーキングセンサーと、エクステリア3点、これらをSレザーパッケージの6速ATに加えると、総額で341万7357円(税込み)になります。

一方のS660の標準βは6速ミッションで198万円(税込み)。オプションは車間距離が縮まると停止するブレーキシステムや、センターディスプレイ、アルミホイール、フロントとリアのエアロパーツ3点。

これらをα6速ミッションに装着すると295万788円(税込み)です。

8つの側面からのスペック比較

価格だけで見るとS660の方が安くなりますが、ここからはより細かく詳細なスペックの比較をしていきます。

全長× 全幅× 全高(mm)車両重量エンジン総排気量最高出力最大トルク駆動方式モード燃費

新型ロードスター 3915×1735×1235
S660 3395×1475×1180
新型ロードスター 990kg
S660 830kg
新型ロードスター P5-VP[RS]
S660 S07A水冷直列3気筒
新型ロードスター 1.496L
S660 0.658L
新型ロードスター 96kw(131PS)/7000rpm
S660 47kw(64PS)/6000rpm
新型ロードスター 150Nm(15.3kg-f)/4800rpm
S660 104Nm(10.6kgm-f)/2600rpm
新型ロードスター 2WD
S660 MR
新型ロードスター 17.2km/L
S660 21.2km/L

乗り心地

4代目ロードスターの走りの印象はずばり、「軽快」です。まさに、軽量化してライトウェイトスポーツカーの原点に戻った車造りが、その走りっぷりに現れています。

ステアリング操作に、車が素直についてくるレスポンスの良さ。1.5Lエンジンは過剰ではないだけの能力を、ロードスターの走りにぴったり合ったパワーを発揮します。

カーブが連続しても、ボディ剛性がしっかりと車の進行方向へ頭を向けてくれます。全体の重量バランスがいいせいか、まさしくピュアな軽快さが印象的です。


一方のS660はミッドシップのメリットを十分に享受できる走行を楽しめます。

ステアリングに対して車の追従性を強く感じ、前輪のグリップ感まで伝わってきます。中回転からはターボも効いてくるので、低速から高速域まできびきびとした走りができます。

ただし、車重800kg台に64馬力のパワーウェイトレシオの低さは否めません。軽自動車であることを考えれば当然。それでも小粒なスポーツカーです。

実はゆるキャラも存在する

ロードスターには、「ロドスタくん」というゆるキャラがいます。このロドスタくん、実はマツダデザイン部の社員、中山雅さんが歴代ロードスターへの愛情を込めて、創作したゆるキャラで、マツダでは非公認キャラとの立場です(どこかのキャラと似てますね)。

それでも「進め、ロドスタくん」がネット上で公開されるとロードスターファンの支持を受け、今や「ロードスタークラブオブジャパン」が著作権を管理して、ファンが楽しめるようになっています。

ロドスタくんについての詳細はこちら

新旧ロードスターの違い

最後に、新型ロードスターと旧型との違いについて見てみましょう。

新型ロードスターが旧型から最も大きな進化を感じるのは、車の挙動です。

ステアリングを切ると、前側を下げながら内側へ車が回りこみます。後輪とのグリップのバランスでさらに緩やかに曲がります。

これこそ、車を操る幸せを感じる瞬間です。

しかも、スポーツカーでありながら、6速MTのi-ELOOP+i-stop装着車でJC08モード燃費で18.8km/L。これは、旧型の6速MTの1.59倍と比べて大きく伸びた点でもあります。

数値上では燃料代が30~40%節約できることになります。

また、安全に関する装備面でも進化しています。旧型はサイドエアバッグと横滑り防止装置でした。新型はさらに、斜め後方に並走する車両を知らせる「ブラインド・スポット・モニタリング」と「車線逸脱警報システム」が搭載されています。

内装も、7インチWVGAセンターディスプレイを標準で装着、SDカードを挿入するとカーナビとして機能するのも、新型ならではの装備です。

カタログ上の排気量こそ下がりましたが、走行性能はそれを感じさせない実力を持っています。

まとめ

排気量が0.5L減ったというのは、普通はマイナスに感じるでしょう。

しかし、新型ロードスターのステアリングを握り、アクセルを踏み込んだ時、そんな不安は霧消します。

快適に吹き上がるエンジンは、車体をスムーズに加速させ、ステアリング操作がこんなに楽しいものか、と思わせる幸福感にひたることができるでしょう。この幸福感こそ、新型ロードスターが目指したドライビングの楽しさへの回帰なのではないでしょうか。

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