スズキ・エスクードに直噴1.4Lターボがラインアップ!歴代の変遷とともにその魅力に迫る!

     
   

スズキ・エスクードに直噴1.4Lターボエンジンモデルが、2017年7月26日、ラインアップに追加されました。ライトクロカンの先駆けとしてモデルチェンジを続けてきたエスクード。今回は、そんなエスクードの変遷とともに、新モデルの魅力についてお伝えします。

スズキ・エスクードとは?

スズキ・エスクードは本格的な悪路走破性と都会的なインテリア、使い勝手の良いパッケージングを兼ね備えたライトクロカンの先駆けとして、大ヒットした車です。ちなみに、ライトクロカンとはライトなクロスカントリー車のことであり、クロスカントリー車とはつまりオフロード車のことを指します。本格的な走行性能とコンパクトなボディ、200万円前後という安価な価格設定を兼ね備えたそのコンセプトは、2017年現在流行しているコンパクトSUVというジャンルの先駆けとも言えるものでした。

しかし、ライトクロカンの先駆けエスクードも代を重ね、時代に合わせてそのコンセプトを変化させていきました。では、次からはエスクードがモデルチェンジでどのように変わっていったのか、その変遷をお伝えします

初代:1988年~1997年

直線的なクロスカントリーらしいデザインと、乗用車らしい内装、乗りだし136万4000円からというリーズナブルな価格設定から、大ヒットとなったモデルです。当時の日本の自動車市場にはこうしたコンパクトなクロスカントリー車は販売されておらず、そうした部分もエスクードの大ヒットを後押ししました。

パッケージングは3ドアに4列シートを採用した、現在で言うところのコンパクトSUVで、ハードトップとコンバーチブルを発売当初はラインアップ。後に5ドア使用のノマドを追加。エスクードをベースとした2ドア・2シータ-クーペ「X-90」も開発されました。駆動方式はパートタイム4WD。豊富なエンジンラインアップを誇り1.6L直4SOHCや2.5L V6 DOHC、マツダからの供給を受けたRF型2.0L 直4ディーゼル ターボなどのエンジンを搭載していました。

3ATから4ATに変更されたり、フレーム強化やトレッドサイズを拡大したりとマイナーチェンジを加えつつ、約10年にわたり販売されました。

2代目:1997年~2005年

時代に合わせ曲線がボディラインに加えられつつ、キープコンセプトのまま2代目エスクードは登場します。リアシートが分割されたダブルフォールディングに変更されたことでシートのフルフラットが可能となり、居住性が大きく進化。初代同様ディーゼルを含む豊富なエンジンラインアップを備え、3ドア・5ドアモデルを国内市場で展開しました。

本革巻きステアリングやカーボン調パネルなどを装備した「エスクードV6スペシャル」やファッションデザイナー山本寛斎がエクステリアデザインをアレンジした「KANSAI」など、販売期間中に数々の特別仕様車をラインアップ。3列7人乗りのパッケージングに2.7L V6エンジンを搭載した「グランドエスクード」も追加されています。

ラダーフレームとパートタイム4WDを備えているのはこの2代目まで。古典的なクロスカントリー車の走行性能と日常の使い勝手を両立させつつコストパフォーマンスにも優れている珍しい車であり、一部のクロスカントリー車マニアにとって注目の1台となっています。

3代目:2005年~2017年

photo by DY5W-sport(CC 表示-継承 4.0)

3台目となるとエスクードではラダーフレームから「ビルトインラダーフレーム」と呼ばれる、ラダーフレームが溶接されたモノコックボディに変更、4WDもフルタイムに変更され、ライトクロカンからコンパクトSUVへ一歩近づきました。ただ、デフロックや副変速機などクロスカントリー車らしい本格的な装備は健在、ATだけでなくMTも初代・2代目に続きラインアップされています。「グランド ヴィターラ」の名称で販売される世界戦略車でもあり、立ち位置的には2代目の派生モデルである「グランド エスクード」の後継モデルとなっています。2015年に販売を開始した4台目エスクードがコンパクトSUVとしてデビューしたこともあり、車種のキャラクターの違いから2017年まで販売が継続されました。

4代目:2015年~

photo by Tokumeigakarinoaoshima(CC 表示-継承 4.0)

世界的なコンパクトクロスオーバーSUVの流行もあり、4台目からエスクードは一気に都市型SUVへと舵を切ります。基本コンポーネンツがSX4と共通になり、FFをラインアップに加えたことが、そのことを象徴的に物語っています。高張力鋼板によりもたらされた1140kgから1220kgという軽量ボディに、K14Cターボエンジンやスイフトにも搭載されたM16Aエンジンを搭載。4WDモデルには電子制御4WDシステム「ALL GRIP」を採用し、悪路走破性を高めています。2016年にはFFモデルが廃止となり4WDモデルのみにラインアップ変更。2017年7月26日には、1.4L直噴ターボ、いわゆる「ブースタージェットエンジン」搭載モデルを追加し、2017年現在販売を続けています。

新グレードの目玉は1.4L直噴ターボ

新グレードの希望小売価格は258万6600円、すでにラインアップされていた1.6Lエンジン搭載の「エスクード1.6」が234万3600円です。

目玉となるブースタージェットエンジンの他にも4WDシステム「ALL GRIP」や「レーダーブレーキサポートⅡ」、前席にサイドエアバッグ・カーテンエアバッグも標準装備。ルーフやフロントグリル、専用アルミホイールなどをブラックに、レッドのステッチやリングにステンレスペダルなどを採用し、全体的にスポーティなデザインへと仕上げられています。1.4L直噴ターボエンジンは時期スイフトスポーツにも搭載が噂されているエンジンです。今回のエスクードがスポーティな演出を強めていることからも、走りは期待が持てそうです。

1.4L直噴ターボエンジンのスペックは最高出力136ps/5500rpm、最大トルク210Nm/2100~4000rpm、JC08モード燃費は16.8km/Lとなっています。レギュラーガソリン仕様ながら十分な低速トルクを確保しています。1.6Lモデルより若干燃費は落ちますが、出力・トルク共に1.4L直噴ターボが上回ります。

また、「ALL GRIP」は「AUTO」「SPORT」「LOCK」「SNOW」から任意の走行モードを選択可能。

世界戦略車として販売されている車ということもあり、特にインテリアデザインはオーソドックスながらも質感が工場、センタークロックまで備えており、高級感をいかに打ち出そうかと、デザイナーの苦労が垣間見えます。

エスクードは現代のライトクロカン

スズキ エスクード最大の特徴は、本格的なライトクロカンとしてまず開発され、その基本コンセプトを踏襲しつつ、時流に合わせSUVとして進化してきた点にあります。そのため、エスクードは4台目となった今でもクロスカントリー的な雰囲気を残しつつ、「ALL GRIP」や「ブースタージェットエンジン」「高張力鋼板」といった最新技術により、現代のライトクロカンとして新たな提案を投げかけています。そのコンセプトは唯一無二。エスクードが元々好きだった方はもちろん、現在主流の都会派SUVとは一味違う車に興味がある方にも、おすすめしたい1台です。

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