【国沢光宏の言いたい放題】今の日本の技術力は高いの?日本が中国に技術で追い付かれる!?【第14回】

     
   

毎週水曜日更新!「国沢光宏の言いたい放題」

この動画は、自動車評論家の国沢光宏先生が、クルマにあまり詳しくない初心者に向けて、「分かりやすく」「言いたい放題」解説する動画です。

日本のモーターショーが縮小傾向の中、勢いを増す中国に対抗するには?

神戸製鋼のデータ偽装、日産自動車の不正検査員問題など、日本のモノづくり産業の信頼を揺るがす不祥事が相次いだ2017年。2年ぶりの開催となった東京モーターショーも前回の来場者を下回る77万1200人で、80万人を割る結果となりました。

一方で、中国の産業の勢いは増すばかり。日本のクルマ産業は窮地に立たされています。

今の日本のものづくり産業の技術は世界で通用するのでしょうか? 今日は中国の市場の様子を伺いながら、日本のこれからの自動車産業について討論していきます。

中国は日本より劣っている国なのか?

牧野:以前、東京モーターショーに行った際、ホンダさんから中国のモーターショーが盛り上がっているというお話を伺いました。やはり中国の自動車市場は今、すごく活発と。対して、日本のモーターショーは国沢先生もおっしゃられていましたが、縮小傾向にあると。果たして、日本の今の自動車産業と中国の自動車産業を比べたらどうなの?というのが今回のテーマです。

国沢:中国に行ったことはありますか?

牧野:いえ、ないですね……。

緒方:私もないです。

国沢:2人は中国にどんなイメージを持っていますか?

緒方:正直に言うと、マイナスなイメージですね……。

国沢:マイナスなイメージしかないよね。その通りだと思います。

牧野:僕も緒方さんと同じ印象ですね。イヤな国。

緒方:食品に関していえば、以前ニュースなどでもあったようなイメージを持っているので、「ちょっと……」という気持ちはあります。

牧野:クルマも以前、イキクルの記事で取り上げたことがありますが、いわゆる「パクリ車」、「コピー車」というのがモーターショーでも出ているなんて話題も聞いているので、どうなんだ?という思いはあります。

国沢:やっぱりね、日本の人ってそういう教育を受けてしまっているんだと思いますね。次の世代の若い2人がそういうマイナスイメージがあって、おそらくその裏側には「日本よりも劣っている国」というイメージがあるんじゃないでしょうか? 全然違います!!

牧野:そうなんですね?

国沢:例えば、新幹線。新幹線の技術は日本が世界一だと思っているかもしれません。だけど、日本で営業している新幹線の総距離は約4000kmです。中国では1年間に4000km増えているんです。

牧野:えっ、距離がですか!? 4000kmも?

緒方:すごいスピードですね。

国沢:中国にはいろんな土地があって、地震があるところもあれば、山あり川あり、そういうところに4000kmも線路を作っているんです。だから線路を作る技術って日本の10倍かそれ以上進んでいるんです。しかもそれで事故が起きているかといえば、大きな事故はまだ1回しかない。

牧野:あー、一度ニュースでもありましたね。

国沢:しかも日本よりも全然安いし、それで日本の新幹線と同じくらいの性能で走る。日本が勝っているところは日本の新幹線は3分に1回走るので、その技術くらいです。そして、中国の自動車も確かに最初は恰好をパクって大したことはなかったです。ところが、今になってみると、日本の自動車メーカーは全部中国の工場で作っている。中国で工場を作る場合、日本資本が50%、中国資本で50%。中国は共産党政権で、事実上私企業はない。中国は日本よりも人口が10倍いるんです。すると、頭のいい奴も10倍いる。

牧野:なるほど、分母が大きいからですね。

国沢:頭のいい奴はみんな自動車工場が儲かるから働きに来るわけなんです。そこで工場のラインをずっと見て、学ぶ。今度は例えば、トヨタの工場の他に日産の工場を見て回る。フォルクスワーゲンの工場を見て回ると。すると、各メーカーのいいところを全て吸収しているんです。それが回りだして今中国の自動車は急によくなっているんです。しかも、日本は部品メーカーまで進出しているから、部品も良いものができている。その上で、定年になった人や日本の自動車業界と喧嘩している人がみんな中国に引っ張られている。

牧野:技術や知識のある人たちをヘッドハンティングしているということですね。

国沢:高い金額を出してヘッドハンティングしているんです。すると、日本ではできなかった優秀な人が中国にいっぱいいるから、最近中国のクルマが良くなって良くなって。ほぼ後2年すると、日本で売っている一番よくないクルマには追い付きますね。

緒方:すごい、スピード感がありますね。

国沢:中国だけじゃない。日本の液晶が韓国にやられたようにどんどん日本がすごいと思っているうちに追い付かれて食われていくんです。

緒方:クルマ業界だけでなく、他の産業もということですね。

国沢:中国がどうのこうのという前に、一度中国に行ってもっと見てこい!と。中国のモーターショーに行って、あの熱気、それから世界中の自動車メーカーが中国に注目しているという事実。その辺りをもっと目の当たりにしないと。今、世界で一番自動車が売れている国はアメリカを抑えて中国がトップですからね?

牧野:アメリカも抜いてですか!?

国沢:中国を笑っているうちにもう抜かれます。

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