毎週水曜日更新!「国沢光宏の言いたい放題」
この動画は、自動車評論家の国沢光宏先生が、クルマにあまり詳しくない初心者に向けて、「分かりやすく」「言いたい放題」解説する動画です。
4人に1人が自動ブレーキの想定外の動作を経験!?
1月18日、国民生活センターが2000人を対象にしたアンケート調査の結果を公表。全体の25%が自動ブレーキの「急加速、急減速など想定外の動作を経験した」と回答していたことが分かりました。
正しく使えばいざという時の身を守る便利な自動ブレーキですが、当然過信は禁物。実はどのような機能か詳しく理解していない方が一定数いるようです。
今回は改めて自動ブレーキとはどういう機能なのか、振り返って解説していただき、先進安全装置についての理解を深めていきます。
アンケート結果が本当ならさっさとリコール対象にすべき
牧野:今日のテーマはこれまでの動画でも取り上げた自動ブレーキ。先日気になるニュースが話題に上っていました。1月18日に国民生活センターが「自動ブレーキについての認識調査」の結果を発表しました。それによると、「自動ブレーキが想定外の動作を体験」した方が全体の25%、4人に1人が自分の意図しない動作をしたということのようです。
国沢:ホントかな?と思うけどね。私はまったく信じていないです。牧野君はこの結果信じます?
牧野:まあ、一応このような形でデータとして出ましたので、半信半疑ですがなんとなく。
国沢:具体的な内容見ました?「急に加速した」って回答している人がいたんですが、自動ブレーキって急に加速する機能は付いていないと思うんですよ。しかも、事故を起こした人が25%のうち、122人もいるんです。2000人に聞いたんですよ? そのうち122人が事故起こしてますって、そんなのホントだったら全部リコールでしょ?
牧野:確かにその通りですね。すごい割合ですからね。
国沢:私の読者も含めた知り合い2000人を対象に事故を起こしたかを聞いたら居なかった。ゼロ。もちろん、誤作動というか、思ったような動きをしなかったということはありますよ。でもそれが事故に至るような危険性のある挙動を起こしているかと言われたらそれはない。
牧野:アンケートの詳しい回答を見ると、自動ブレーキの警告音にびっくりして慌ててハンドルを切ってしまったなど、そういうことはありましたね。
国沢:自動ブレーキは運転を保護するものではなく、アドバイスするものです。問題は加速しちゃったとか訳の分からないものが多い。それは信じられない。
牧野:以前、自動運転を取り上げた動画でもAIが完全に自動で運転するということは今後もないというお話をされたこともありましたよね。
国沢:あり得ないですね。今回はそうではなく、単なる自動ブレーキとか安全装置についての話なので、それでこれだけ事故が起きているのだとすれば、国民生活センターは国交省と警察に言って、対象車種を調べてリコールすべきですよ。なんでやらないのか不思議ですよ。
自動ブレーキへの誤解はメディアの伝え方にも問題がある
国沢:こういう記事が出ると、今の牧野君のように「危ないの?」って思う人が現れて、買わない方がいいって考える人が出てくるじゃないですか。そういう意味もあるでしょ?
牧野:そうですね、裏にはそういう思惑もあります。
国沢:でも自動ブレーキは安全性を確保するために絶対必要なものだし、すごく役に立つんですよ。それをこんなことで足を引っ張る人が出てくるというのはちょっと許せないですよね。
牧野:普通に使用していれば間違いなく便利なもので、自分たちの身の安全を守ってくれるものです。こういった結果が出たということは、やはり使用者の使い方に問題があると思うんです。
国沢:使い方も問題もあるし、テレビやメディアで「なんでもできちゃうよ」というような宣伝も見られます。さらに自動ブレーキの性能はどこも全く同じだと考えている人がいるのも事実です。例えば、先日も説明したように、ホンダ・N-BOXのHonda SENSINGは50km/Lでも自動ブレーキがかかります。一方、ダイハツ・タントは25km/Lでもぶつかりますと。その他の車種でも、30km/Lになったら自動ブレーキが稼働しないというものもあるんですよ。なぜなら自動ブレーキのセンサーの性能が怪しいので、高速道路出入口のバーなども誤認識しちゃって危ないからです。そういうものも今回の調査に含まれていて、ブレーキがかからなかったという話もあるんです。それは、自動ブレーキが悪いのではなくて、間違えるような宣伝も悪い。今回、宣伝が悪いとは一言もなくて、自動ブレーキ誤動作の話しか出てこない。それはちょっとひどいと思いますよね。
自動ブレーキの機能を改めておさらい
牧野:このようなアンケート結果が出た原因としてメディアの責任ももちろんありますが、やはり問題はユーザーの勘違いだと思うんです。改めて自動ブレーキとはどういう機能かということをご説明していただけますでしょうか?
国沢:前にクルマがいて、危険になった時にブレーキをかけてくれるというものが自動ブレーキです。クルマに乗っているといろんなものがあって、いろんな状況があります。その中で「もしかしたらこれは危ないかもしれない」という場合に警告を出してくれるわけです。また、警告のために軽いブレーキをかけてくれることもありますが、これはアクセルを踏めば解除されますし、注意喚起として受け止めればいいわけで、この機能が付いているからダメだという話にはなりませんよね。
牧野:以前、「助手席に誰かが乗っているような感覚だ」とおっしゃられていましたが、まさにその通りですよね。
国沢:助手席の人のうるささの度合いが違うだけで、警告してくれることが安全であることは間違いないですよね。ここで大事なのは、自分のクルマの自動ブレーキがどんなものなのかを知っておくことです。例えば、何キロで止まれるのか? 30km/Lになったら装置が解除されてしまうのか、そこだけはちゃんと覚えておかないといけない。自動ブレーキが付いていると思っているだけではダメです。これは自動車メーカーの宣伝の仕方にも問題があって、私は何度も自動車メーカーに是正してほしいって訴えているんですが残念ながらダメなメーカーのものもあるんですよ。
牧野:ありがとうございます。改めて今日は自動ブレーキについてお伺いしました。国沢光宏の言いたい放題、また次回の動画でお会いしましょう。