【国沢光宏の言いたい放題】逆風の日産、セレナe-powerは汚名返上の1台になるのか?【第11回】

     
   

毎週水曜日更新!「国沢光宏の言いたい放題」

この動画は、自動車評論家の国沢光宏先生が、クルマにあまり詳しくない初心者に向けて、「分かりやすく」「言いたい放題」解説する動画です。

セレナに待望のe-powerが追加!日産の救世主となるのか?

不正問題で揺れる日産ですが、先日開かれた東京モーターショーにて、セレナにe-powerを追加することが発表されました。

e-powerといえば昨年ノートe-powerがバカ売れしたことが記憶に新しいですが、果たしてセレナe-powerは逆風の日産にとって救世主の1台となるのでしょうか?

そもそもe-powerとはどのようなシステムなのかということも含めて、今回の「国沢光宏の言いたい放題」ではセレナe-powerにスポットを当てて解説していただきます。

電気自動車の新しいカタチ「e-power」ってどんなシステム?

牧野:今日はセレナというミニバンをピックアップして国沢先生に話を伺っていきたいと思います。今回、東京モーターショーでも発表がありましたが、セレナe-powerが新しく出ることが決まりました。まずはe-powerというのは何かということを国沢先生にお伺いします。

国沢:その前にセレナe-powerは出るということが決まっただけで、何も分かっていないんです。

牧野:詳細はまだ出ていないんですね。

国沢:そう。でもe-powerというシステムはノートで出ていて予想は容易にできます。

牧野:いわゆる「シリーズ式ハイブリット」という名前が付いています。普通のクルマと違ってガソリンで電気を発生させてその電気で走るクルマということらしいですね。実は私は歴史が好きなので、真っ先に思い出したのは戦時中にドイツのポルシェ博士が作った戦車の設計だったんです。このシステムってそもそもどういう利点があるのでしょうか。

国沢:まず、エンジンを動かしてエネルギーを作ってタイヤを動かすために、必ず変速機というものを使います。自転車でいえば一番軽いギアから入ってだんだん重いギアに変えますよね。ああいうものが必要なんです。また、スタートの瞬間にクラッチというものが必要です。ATでしたらトルクコンバーターというでトルクをつなぐ、MTならクラッチをミートさせる。回転させるものを合わせなきゃいけない。昔はそういった合わせるものがなかったんです。

緒方:そうなんですか?

国沢:例えばディーゼル機関車や戦車には変速機がなかった。そのため、エンジンで電気を作り、電気でモーターを駆動させればミッションもクラッチもいらないじゃないですか。これが一番理にかなっていたんです。

牧野:今、この平成の世にこのシステムをよみがえらせた理由はなんなのでしょうか。

国沢:このシステムってエンジンで電気を作りますよね? エンジンで直接力を伝えてるわけではないので、エネルギーのロスが出ます。100の力があるとして、モーターを回して電気を作るときに100のパワーは生み出せません。そして、作り出した電気を動力として伝える際にもまたロスが出てしまう。さらにモーター自体のロスも発生している。そうすると最初の100の力がせいぜい60くらいにまで落ちてしまうんです。だったら変速機の方が効率がいい。ですからこれまでのクルマは変速機が使用されていたんです。

牧野:なるほど、確かにその通りですね。

国沢:ところが、最近になってモーターの性能がすごくよくなった。発電機の性能もよくなった。さらにインバーターという作った電気を回すために間に入る制御系もあまり電気を食わなくなった。つまりエネルギーロスが減ってきたんです。

牧野:なるほど、そういう事情があるんですね。

国沢:それに加えて、もう1つ理由があります。普通のエンジンの使い方というのは、エンジンの1000回転から6000回転まで全部の回転数で馬力を出さなければいけません。低い回転数のエンジンのあり方と高い回転数のエンジンのあり方って違いますから、1つで合わせようとするとどうしても燃費がよくないんです。燃費を上げるためには同じ回転数でずっと回していた方が高効率ですよね。すると、エンジンを発電機として使って電気でクルマを動かす間に、バッテリーを置いておいて、ゆっくり走るときはバッテリーに電気を貯める、パワーを出すときにバッテリーから使うようにすればもっと高効率になります。

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