新型クラウンに近未来のビジョンも見据えている
今回の「CROWN Concept」で一番目玉となるものが、このコネクティッドサービスに係るものです。具体的には、車載通信機を全車に標準装備することで、ビッグデータを活用し、安全面や利便性においての充実を図ることが目的であるといえましょう。
その車載通信機のメインとなる機能が、「ITSコネクト」というサービスです。これは、世界の各自動車会社が共通の周波数を用いて実験している未来の車通信システムで、レクサスにおいてはRXに有償で搭載され、また新型LSでは全車標準装備となているものです。「ITSコネクト」の具体的な機能としては、車同士で相互に通信を行うことにより、レーダークルーズコントロールの制御を円滑にしたり(自動運転につながる機能)、緊急車両の接近や、一部地域においては信号があと何秒で変わるかがわかるようになっています。今後はスマホにもこれが搭載されれば、例えば交差点での右折待ちの際、歩行者を検知して事故の軽減を図ったり、またスマホのみならず、店舗や建物などに搭載することによって、ナビ機能やオペレーションサービスに充実を図ったりするという概要になっています。
トヨタ自動車は、この通信サービスを新型クラウンに搭載することによって、従来であれば車単体での安全性能の向上を目指していたものを、街全体、ひいては社会全体で安全の向上を図ろうという提唱をしています。それが伝統を持つクラウンだからこそできる革新であるのです。また、それは私たちがかつて夢見たSFの未来のような、わくわくする未来への幕開けの金字塔であるかもしれません。
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