「 技術による先進」スローガンの面目躍如
自動車メーカーはそれぞれ、ブランドごとに自動車開発に対する意識をスローガンとして標榜しています。例えば、有名なものですと、メルセデスは「最善か無か」、BMWは「駆け抜ける歓び」など、一言で聞いてそのメーカーの特色を知ることができるようなものになっています。
アウディにおいては、「技術による先進」というスローガンを掲げています。アウディのモータースポーツ活動やそれによる市販自動車への最新技術の積極的採用、そして自動車業界の未来をリードしようという、アウディらしい意気込みが感じられ、またこの言葉にはアウグスト・ホルヒのDNAが脈々と受け継がれた言葉のようにも感じられます。
アウディには、他社にない様々な独自の技術が多数あります。ここではその技術をひとつひとつご紹介していきましょう。
アウディといえば――クワトロシステム――
まず、アウディと聞いて誰しもが思い浮かべるのはこのワードであるといえるでしょう。車好きであれば、誰しもがアウディといえばクワトロと答えるに違いありません。クワトロは1980年のアウディ・クワトロのデビュー以来、現在に至るまで受け継がれ、洗練されてきました。
クワトロシステムとは、すべてのタイヤを駆動させ、走行時の安定性や走破性を高めるための駆動システムです。当時、いわゆる4WD、四駆のシステムはオフロード車のための技術であると思われていました。しかしアウディはこのシステムをクワトロとして昇華し、ハイパワークーペに搭載することで、スポーツドライビングにも応用ができることを証明しました。
今では当たり前になった四駆のスポーツカーも、実はアウディがこのアウディ・クワトロで革新を起こしたことで、一般に広く知れ渡るようになったのです。そしてそのシステムは今もなお、進化を続けているのです。
その先進性――シングルフレームグリル――
近年では珍しくなくなった、大きく口を開けたようなグリルのデザインも、実はアウディが発祥です。アウディはこれをシングルフレームグリルと呼び、2006年のA6のフルモデルチェンジで初めて導入されました。
一目見てアウディであるとわかる特徴的なデザインと押し出しの強さ、そしてこの形状は、実は空力学上でも非常に優位で合理的なデザインとなっているのです。アウディのバンパー、グリルデザインの革新を皮切りに、今ではどの自動車メーカーもこのグリル形状を採用しています。
そして実は、このA6のシングルフレームグリルをデザインしたのは日本人なのです。和田智というデザイナーで、日産やアウディで活躍し、現在はフリーランスとして活動しています。