photo by マツダ・フレア公式サイト
街で走る色々なクルマたち。パッと見は同じでも、作っている自動車メーカーから販売されているクルマでない場合もあります。
こういったクルマは「OEM車」と呼ばれ、意外と街に溶け込み、あふれています。ここではどんなクルマがOEM車なのか、そしてその元となるクルマは何か、詳しく見ていくことにしましょう。
記念すべき第一回目は、マツダの軽自動車たちです。
そもそもOEMとは?
OEMは「Original Equipment Manufacturing」の略で、他社によって造られた製品(ここではクルマ)を自社ブランドとして売ることを言います。こうすることで販売する側は大幅な開発費用の削減ができ、また製造メーカーとしても安定した売上が確保できるというメリットがあります。
ちなみに今回のマツダの軽自動車を例に取ってみると、供給元はすべてスズキです。マツダはかつて、名車と呼ばれるR360クーペやキャロル、シャンテなどを自社で製造してきましたが、販売不振などにより軽自動車市場から一時撤退していました。
再び市場への道を開いたのは「AZ-ワゴン」
そして時は流れ90年代に入り、再び軽自動車(軽乗用車)市場に参入することになります。このきっかけを作ったのが、1994年に発売された「AZ-ワゴン」です。
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このAZ-ワゴンは、基本のコンポーネンツは前年(1993年)に発売された初代「ワゴンR」を流用したもので、バッジ以外ではほとんど見分けがつくことがありません。
ちなみに「AZ」とは、当時のマツダの販売チャンネルのひとつであった「オートザム」の略です。その名の通り、オートザム店専売モデルとして発売されたのです。しかし1997年に、オートザム店は消滅。これを機に車名が「マツダ・AZ-ワゴン」に変わっています。
AZ-ワゴンは本家スズキ・ワゴンRとともにモデルチェンジが行われ続け、足かけ4代にわたり販売されてきました。代が変わっても相変わらず昔の販売チャンネル名が残っているという、ちょっと変わったクルマでした。
もうひとつのオートザム――「AZ-オフロード」
「AZ」の名を冠すマツダの軽自動車はもう一台あり、それが「AZ-オフロード」です。こちらはスズキのオフロードの名車「ジムニー」をベースにしています。
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こちらも販売チャンネルは既に消滅しているにも関わらず、その名称が使用されるという珍しいケースです。 1998年にデビューし、モデルチェンジなどを行わず2014年まで販売されてきました。
マツダの国内販売乗用車としては、唯一のラダー(はしご型)フレームを持った本格的なクロスカントリー4WD車でした。本家のスズキ・ジムニー同様コアなファンが多く、カスタムの対象となることが多いクルマです。
カスタムパーツ類もジムニーと全く共通ですので、マツダのエンブレムを取り去ってしまうと、クルマに詳しい人が見てもジムニーと間違えてしまうほど。中古車市場でも未だに高い人気を誇っています。
新時代を築いた「フレア」
2012年以降、マツダの軽乗用車シリーズはすべて英語で「才能」を意味する「フレア」シリーズというネーミングで統一されます。その第一弾となったのが「フレア」。
このフレアはかつてのAZ-ワゴンと同様、ワゴンRがベースになります。現行型は5代目ワゴンRが元になっています。メカニズム等もワゴンRのものがほぼ踏襲され、新たにアイドリングストップ機構などが全車標準装備となりました。
そして、ワゴンRの最大のセールスポイントである省燃費機構「エネチャージ」「S-エネチャージ」などもフレアの一部グレードに搭載されます。ちなみにワゴンRの上級グレード「スティングレー」にあたるグレードは、フレアでは「カスタムスタイル」と呼ばれています。
このフレアには、別のバリエーションとして「フレアワゴン」というクルマも。
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これは現在2代目が現行型で、初代はスズキ・パレットがベースでした。ただしこちらにはパレットでいう上級グレード「SW」にあたるイメージリーダー的な存在が設定されていませんでした。
そして本家のパレットがモデルチェンジでスズキのラインナップから消滅するとともに、フレアワゴンもわずか9ヶ月という非常に短い販売期間で2代目へとモデルチェンジするのです。
現行フレアワゴンが発売されたのは、2013年のこと。今回はスズキ・スペーシアがベースとなります。このクルマにもフレア同様、省燃費技術「エネチャージ」が搭載されるグレードが存在します。そして待望の上級グレード「カスタムスタイル」が設定されました。これはスズキの「スペーシア・カスタム」に準じたモデルで、力強い加速のターボエンジンが魅力です。
また、フレアシリーズにはSUV版として「フレアクロスオーバー」があります。
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こちらのベースになったのはスズキの大人気車種である、ハスラー。「個性的なデザインと軽ワゴンの性能を併せ持った、全く新しいタイプの軽SUV」と、マツダはこのクルマを説明しています。
マツダの軽SUVは、かつてのスズキ・Keiをベースにした「ラピュタ」やAZ-オフロード以来のものとなります。元々完成度の高いハスラーそのままなので、走りの性能なども全く同じです。こちらも、本家ハスラーとほとんど見分けがつきません。
実はあのクルマもOEM車かも?
マツダの軽自動車は本家であるスズキの軽自動車と外観の差がほとんどないので、見事に街に溶け込んでいます。それだけに見つけたときの喜び(?)は、かなりのものです。
今後も新旧さまざまなOEM車を取り上げていきたいと思いますので、是非お楽しみに。