今こそ国産ステーションワゴンに乗ろう!シャトル&フィールダーの2車種を比べてみた

今こそ国産ステーションワゴンに乗ろう!シャトル&フィールダーの2車種を比べてみた
     
   

昨今のミニバンブームの中で、クルマを知り尽くした人が必ず勧めるのがステーションワゴンです。いわゆるバンという分類なのですが、そのユーティリティーは侮れません。常に多人数で乗車するなら別ですが、5人までならステーションワゴンで十分。乗用車と何ら変わらぬ運転感覚でいながら、多くの荷物を積みこむことができ、立体駐車場も利用が可能。最近はハイブリッド車も普及しており、重たいミニバンより燃費も良い。まさに言う事なし形態のなのです。

ところが、ミニバンの人気に押されてワゴンの売上は減少傾向。今、国内メーカーが販売するこの手のワゴンは少なくなっていて、1.5リットルエンジンを搭載するコンパクトワゴンは貴重な存在です。そこで今回は、国産ステーションワゴンの中から、ホンダ・シャトルとトヨタ・カローラフィールダーを比較しながらこの車種の魅力を探ってみましょう。

まずはシャトルとフィールダー、両車の概要

photo by 本田技研工業株式会社

ホンダのシャトルは、フィットをベースに開発された5ナンバーサイズのコンパクトなワゴンです。全長はフィットより445mm長く、その延長分は広い荷室にあてられています。エンジンは直列4気筒の1.5リットルと、ハイブリッド車が設定されます。

photo by トヨタ自動車株式会社

シャトルのライバルとなるのはトヨタのカローラフィールダーです。こちらはカローラアクシオとプラットフォームやパワーユニットを共通化したコンパクトワゴンになります。カローラフィールダーのエンジンは1.5リットルと1.8リットルで、1.5リットルのハイブリッド車も設定するなど、シャトルよりも豊富なラインナップとなります。

いわゆるセダンと商用バンを設定し、そのバンを利用して乗用車のワゴンを作るという、一昔の国産車では必須となっていたラインナップですが、現在はカローラバンは存在せず、カローラのラインナップはセダンのアクシオとフィールダーのみとなっています。

シャトルとフィールダーのサイズ感とスタイリング

シャトルとフィールダーのボディサイズはほぼ同じ。全高はフィールダーがシャトルに比べて70~80mm低く、ホイールベースもカローラフィールダーの方が70mm長くなっています。

シャトルは全長に対してホイールベースが短いため、オーバーハングが長く、全高が1500mmを大幅に超えているので、見るからに室内スペースが広いミニバン風のスタイリングです。

対して、フィールダーは典型的なワゴンのスタイル。後部ドアから前のボディはセダンのカローラアクシオとまったく同じといっていいでしょう。低めのルーフと水平に伸びたボンネット形状によって、シャトルよりスマートに見えます。

このデザインの差はユーザーの好みの差に大きく反映し、シャトルはファミリー層が多く好む反面、若いユーザーには人気がないようです。逆にフィールダーは比較的若い層、特に男性ユーザーに人気がありますが、ファミリー層向けとは言い難い見た目となっています。

シャトルとフィールダーの居住性能の比較

photo by 本田技研工業株式会社

シャトル、フィールダーともに前席の居住性は互角で、1.5リットルクラスとして十分な余裕と座り心地があります。しかし、後席になると前席と異なり、それぞれに性格の差がハッキリと現れます。結論から言うとはシャトルの方が快適です。

足元空間が広く、大人4名が乗車して後席に座る同乗者の膝先空間は、シャトルが勝り、頭上空間もシャトルに軍配が上がります。

座り心地に関しても、シャトルは座面のボリューム感があり、フィールダーは4名乗車の実用性を備えるものの、快適性という点では頭上空間と足元空間は、ボディの形状による利点が大きいシャトルに差を付けられてしまいます。

シャトルとフィールダーのラゲッジスペースの比較

ワゴンにとってラゲッジスペースの重要性は大きなウェイトを占めます。2名乗車時の荷室容量は、フィールダーよりもシャトルの方が圧倒的に大きく、荷室の高さを活かして背の高い荷物を積むことも可能になります。

photo by 本田技研工業株式会社
photo by トヨタ自動車株式会社

フィールダーは後席の背もたれを前に倒すだけですが、シャトルはさまざまなアレンジを可能にした。シャトルの場合、燃料タンクを前席の下に搭載するので、床面へ落とし込むように後席を格納できるため、荷室の容量が大きくなるのです。

ここまででは、ファミリーカーにとって理想的なのはシャトルという結果になりますが、他にも重要な基準があります。それは車にとって最も基本となる走行性能と燃費、そして安全性能です。

シャトルとフィールダーの走行性能と燃費

phoyo by 本田技研工業株式会社

1.5リットルエンジン搭載車のJC08モード燃費では、シャトルが21.8km/L、フィールダーは23km/Lとなり、ハイブリッド車は、シャトルが32.0km/L、(Zは29.6km/L)、フィールダーは33.8km/Lとなるため、燃費ではともにフィールダーが勝っています。

また、1.5リットルエンジンの出力を見ると、シャトルが132PS 、フィールダーは109PSとなっています。車両重量がほぼ同じであることを考えると、シャトルの方が動力性能では勝っていると言っていいでしょう。操縦性に関しては、シャトルがキビキビとした走り、フィールダーがカローラ伝統の素直な操縦性という個性が出ますが、フィールダーも1.8リットルになるとスポーティーな印象になります。

さらに、ハイブリッドでは、フィールダーが無段変速で滑らかな加速感、シャトルは7速DCTによる活発な走りというミッションの違いがあるため、1.5リットル車より個性が出やすくなります。

シャトルとフィールダーの安全性能の比較

さて、コンパクトカー選びの基準において、近年では燃費や室内空間以上に重要視されるのが安全性能です。自動ブレーキの搭載は当たり前で、さらにどのような運転支援システムが装備され、どのくらいの価格になるのかが検討項目になります。

シャトルには、「シティブレーキアクティブシステム」と「前席用i-サイドエアバッグシステム」「サイドカーテンエアバッグシステム」をセットにした、「あんしんパッケージ」を1.5GとHYBRIDにメーカーオプション設定 、HYBRIDX及びGには標準設定されています。

フィールダーには、プリクラッシュセーフティシステム ・レーンディパーチャーアラート ・オートマチックハイビームと先行車発進告知機能はセットした、トヨタのコンパクトカー用パッケージの「ToyotaSafetySense C」を1.5GとHYBRIDXにメーカーオプション設定、その他に標準装備、また、SRSサイドエアバッグ、SRSカーテンシールドエアバッグも全車に標準装備しています。

「あんしんパッケージ」オプション価格6万1560円(税込)
「ToyotaSafetySense C」オプション価格5万4000円(税込)

シャトルもフィールダーも互角の装備内容ですが、グレードによって装備内容が異なりますので、両車種の比較に際しては注意が必要です。

シャトルとフィールダー、どちらにするか?

シャトルとフィールダーの比較をすると、燃費以外ではフィールダーの方が広くて使い勝手が良いという結果になりそうですが、ユーザーの選択はそうならないことも多いのです。

なぜなら、そんなに多くの荷物は積むことが無かったり、常に2人しか乗らないのでフィールダーでも十分。そうであれば「ミニバン風のスタイルのシャトルよりフィールダーの方がスマートでいい」ということになるのです。

さらにいえば、エクステリアで比較するなら日産のウィングロードかスバルのレヴォーグも比較対象に入ってきますが、モデルが古すぎたり価格が高すぎたりと、一般のユーザーにとっては現実的ではありません。

その点においてシャトルとフィールダーの2車種は、値段的にも性能的にもお手頃で、ユーザーにとってベターな選択になりそうです。そして車を使うライフスタイルによってどちらを選ぶかが決まってくるはずです。

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