「#型破る」というトリッキーかつ大胆不敵なハッシュタグ(宣言)とともに満を持してそのSUV市場に登場を果たしたアウディ・Q2。発売から半年が経ちましたが、その後も売れ行きは好調のようです。
昨今のSUVブームで、各社さまざまなSUVをラインアップさせていますが、アウディ・Q2が他車と比べて優位に立つ理由は何なのでしょうか? 以前、Q2発売直後もその魅力をドイツ御三家とともに検証していきましたが、ここでは国内メーカーの人気SUVと比較して、その先進性についてお伝えします。
以前の記事はこちらから!
アウディが送り出す新たな刺客Q2。ライバル車との比較から見えてくるその実力は?
アウディがこの車に込めた思いや今後の自動車業界を牽引していこうという意志を感じさせる様々な意匠や装備について、前回の記事も参考にしながら今一度おさらいしてみましょう。
アウディ・Q2を改めておさらい!
日本において欧州プレミアムブランドの中でアウディを選択することの一つのメリットには、アウディには多種多様な排気量、サイズの車種が用意されている点であるといえるでしょう。
日本は国土が狭く、あまり大きな車では持て余してしまうという理由もあり、他国に比べてサイズ感にシビアな環境です。欧米の車は道路事情も相まって比較的日本国内で乗るには少し大きいと感じる方も数多くいらっしゃることと思います。
その点でアウディはA1、A3、Q3など比較的コンパクトなサイズの車も数多くラインナップされています。ことに日本においてはマッチングする車種も数多くあり、ある意味では肩ひじ張らないサイズ感の車に乗ることこそが、知的な選択といえるのではないでしょうか。
そしてこのQ2も、そんな日本の環境に大変フィットした車であるといえましょう。全長4,200mm、全幅1,795mm、全高1,530mmとコンパクトながらも、そのSUVフォルムで居住性、積載性ともに不足は感じることがありません。最小回転半径も5.1mと抜群の小回りの良さを実現しています。
また、その走りに関しても3気筒1.0L TFSI、4気筒1.4L TFSIエンジンの二種類をラインナップしており、走行環境に合わせて選択することができます。TFSIならではのスーパーチャージャーとターボチャージャーを合わせた低速、低回転から高速、高回転までのレンジの広いトルクフルな走りは、車好きも納得の安心感があります。
エクステリアもシャープでダイナミックなSUVらしいデザインとなっています。近年のアウディのデザインを踏襲しつつも、それを超えるポリゴンデザインコンセプトを採用しています。複雑な面を組み合わせることで美しいラインを描いています。
運転支援や安全機能に関しても、0-200km/h間をストップアンドゴーで追従走行可能なアダプティブクルーズコントロールやアウディパーキングシステム、アウディサイドアシスト、アウディアクティブレーンシステムなど上位機種と変わらぬ機能が装備されています。
さらに「MMIナビゲーションシステム」や「Audiスマートインターフェイス」、そして話題をさらった「アウディバーチャルコックピット」も設定されています。
そして何よりも重要なのは、「このQ2は車両本体価格299万円から設定されている」ということです。広くドライバーを確保しようという気概のこもったエントリーモデルとしての価格設定ということはもとより、これだけの装備、機能がアウディのQ2には搭載されている、ということが驚きです。
これは他メーカーでは絶対にできないと断言してもよいでしょう。通常エントリーモデルは多少装備的には上位機種よりも劣るというのが通例です。しかしこのQ2においては、それだけの装備が設定されています。これは、アウディがこの先の未来を見越して、すべての車種に先進的な技術を搭載していくという、意志といってみても差し支えはないのではないでしょうか。
「技術による先進」というスローガンが指し示す通り、アウディ・Q2はアウディの技術の粋と自動車業界を技術によって牽引していこうとする気概が感じられる一台となっています。
国内SUV比較その①:アウディ・Q2とトヨタ・C-HRを比較
アウディ・Q2と同サイズで一番売れた車種といえば、この車といえるのではないでしょうか。一時期などは、町中の至るところでこの車を見ない日はないといってもいいほど、あちらこちらで見かけることができました。
CH-Rは全長4,360mm、全幅1,795mm、全高1,550mmとややQ2よりは大きめのサイズとなっています。エンジンは直4 1.8Lハイブリッドと直4 1.2Lターボの二本立てです。
印象的な外観で、近年のトヨタの象徴であるキーンルックを継承し、一目見てわかるデザインとなっております。グレードによってシーケンシャルウィンカーも設定があるのが嬉しいところです。ホイールも近年では流行の切削のデザインが採用されていて、精悍な雰囲気を醸し出しています。
インテリアにおいても、シンプルでありながらシフトノブは革巻きになっていたりと、細かいところが作りこまれている印象です。
安全装置面に関しても「TOYOTA Safety Sense P」が採用されています。緊急ブレーキのプリクラッシュセーフティシステムやレーダークルーズコントロール、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームが設定されており、安心の装備となっております。
気になるお値段は251万円からとQ2に比べると少しリーズナブルな設定になっているのも魅力の一つです。
アウディ・Q2 | トヨタ・C-HR | |
全長×全幅×全高(mm) | 4,200×1,795×1,530 | 4,360×1,795×1,550 |
重量(kg) | 1,310 | 1,470 |
ホイールベース(mm) | 2,595 | 2,640 |
エンジン最大出力 | 116PS / 5,000-5,500rpm | 116PS / 5,200-5,600rpm |
JC08モード燃費 | 17.9km/L | 15.4km/L |
本体価格 | 299万円 | 251万6400円~ |
国内SUV比較その②:アウディ・Q2とスバル・XVを比較
続いては人気急上昇中のメーカースバルのコンパクトSUV、XVです。全長は4,465mm、全幅は1,800mm、全高は1,550mmとこちらもQ2と比べて少し大きめです。エンジンは直4 1.6Lと直4 2.0Lの二本立てとなっています。
エクステリアに関してはこちらは今までの車種に比べてどちらかといえば従来のワゴンに近い印象を持っていますが、カラーバリエーションが豊富な点では、他のSUVにない魅力といえるでしょう。
インテリアに関してもエクステリア同様、ワンポイントで色が入ったり、ステアリングやシフトレバーのブーツが革巻きになったりと、高級感あふれる内装となっています。
安全装置はスバルの真骨頂ですが、XVにおいても、その面目をいかんなく発揮してくれています。統合安全装備であるアイサイトを標準装備している点も、安心であるといえるでしょう。
価格は213万円からとかなりリーズナブルな価格設定となっています。
アウディ・Q2 | スバル・XV | |
全長×全幅×全高(mm) | 4,200×1,795×1,530 | 4,465×1,800×1,550 |
重量(kg) | 1,310 | 1,410 |
ホイールベース(mm) | 2,595 | 2,670 |
エンジン最大出力 | 116PS / 5,000-5,500rpm | 115PS / 6,200rpm |
JC08モード燃費 | 17.9km/L | 16.2km/L |
本体価格 | 299万円 | 213万8400円~ |
国内SUV比較その③:アウディ・Q2とマツダ・CX-3を比較
3番目としてマツダのSUV、CX-3と比較していきます。全長4,275mm、全幅1,765mm、全高1,550mmとサイズに関してはQ2とほとんど変わりません。エンジンはマツダの特徴の1つである1.5Lのクリーンディーゼル「SKYACTIV-D 1.5」に加え、2.0Lのガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.0」を搭載。
エクステリアもマツダのデザインテーマ「魂動(こどう)」を全面的に採用しており、走りと見た目を高いレベルで両立してまとめられています。
インテリアは先鋭さと上質さが際立つデザインで、車内にいて常に最新サービスを受けられる「マツダ コネクト」などの機能性も充実。安全性能も「セーフティ・サポートカーS」を搭載しており、安心の内容となっています。
また、価格に関してはQ2より低い値段から設定しており、こちらもQ2と比較する上で検討材料となるでしょう。
アウディ・Q2 | マツダ・CX-3 | |
全長×全幅×全高(mm) | 4,200×1,795×1,530 | 4,275×1,765×1,550 |
重量(kg) | 1,310 | 1,270 |
ホイールベース(mm) | 2,595 | 2,570 |
エンジン最大出力 | 116PS / 5,000-5,500rpm | 105PS / 4,000rpm |
JC08モード燃費 | 17.9km/L | 23.0km/L |
本体価格 | 299万円 | 210万6000円~ |
国内SUV比較番外編:アウディ・Q2とレクサス・UXを比較
レクサス・UXはまだ発売はされておりませんが、2017年3月のジュネーブモーターショーで発表され、噂によれば2018年12月に発売されるといわれています。
これはCTのSUVバージョンとも、C-HRのレクサス版ともいわれており、そのエンジンや諸元性能は謎に包まれています。
しかし、その発表から推察されることは、おそらくはNXよりは小型の車種になること、ミラーレスの可能性、新型シャシーの採用などがあげられます。
C-HRのレクサス版であるとすれば、おそらくはサイズ的にはかなり似通ったものになるのではないでしょうか。ともすれば、Q2の対抗としては最有力候補となりうるでしょう。
エンジンはCTやC-HRに使われているプリウスのエンジンの改良型が乗ると噂されていますが、新型のハイブリッドシステムが搭載されるとのうわさもあります。
ターボエンジンに関してはいまだ詳細は不明ですが、C-HRの例を見て取れば、オーリスと共通のターボエンジンが乗ることも可能性としては否定できないかもしれません。価格帯はおそらくはCTとNXの間、400 万円から500万円のあいだになるのではないでしょうか。
安全装置や装備面に関してはQ2と同等、もしくはそれを上回る新しいシステムが乗ることも示唆されています。その詳細が出てくるのはおそらく夏ごろになるでしょうが、新たな情報に期待大です。
キーワードは「#型破る」!?Q2のコンパクトSUVマーケットにおける功績
群雄割拠のSUVジャンルですが、コンパクトSUV市場に関してはいまだ成熟しているとは言えない部分もあります。今後メルセデスやBMWも追随する可能性は十分にありますし、国内メーカーに関しても競争は激化するものと思われます。
そんなコンパクトSUVマーケットに一石を投じたのはまさにQ2でありましたし、また今後ものその市場をけん引していくのは言わずもがなQ2でしょう。
まさにそんな自動車の未来を予感させる車こそ、「#型破る Q2」であったのです。