ホンダヴェゼルは2013年に発売され、ほぼ6年もの間コンパクトSUVカテゴリーでは圧倒的な売れ行きを見せています。
2014~2016年の3年間は、SUV新車登録販売台数で第1位を3年連続で獲得するという快挙をなし遂げました。
また直近の2019年上半期においても、新車販売台数で第1位を獲得しています。
マイナーチェンジはあったものの、ベースモデルが6年間も変更なしで売れ続けているというのは脅威といえます。
では「ホンダ ヴェゼル」とは一体どんな車なのでしょうか。
今回は2013年12月に発売された初代ホンダヴェゼルについて詳しくご紹介します。
ホンダヴェゼルのカテゴリー コンパクトSUV
ホンダヴェゼルのカテゴリーは「コンパクトSUV」です。
コンパクトSUVとは「コンパクトサイズのスポーツユーティリティビークル」のことです。
サイズ的には「ミニSUV(サブコンパクトSUV)」と「フルサイズSUV」の間のサイズです。
日本車のボディサイズでいうと、軽自動車と普通車の間です。
コンパクトカーというのは、
・5ナンバー
・ボディサイズが全長4,700mm×全幅1,700mm×全高2.000mm以内(おおよそであり明確ではない)
・ボディタイプがハッチバック、トールワゴン、5ドア
・排気量が約1,000~1,500cc
を指します。
またSUVとは、
・オフロード走行が可能
・荷室に荷物を多くつめる
・アウトドアレジャーに対応できる
などの特徴があります。
ホンダヴェゼルは「コンパクトカー」と「SUV」の特徴を兼ね備えていることから上記の機能が搭載されています。
ホンダヴェゼルのボディデザインの2つの特徴
ホンダヴェゼルには「ロアボディー」と「アッパーボディー」という2つの異なるデザインが融合されています。
①ロアボディー
ロアボディーとは、一般的にSUVカーに採用されている下回りの風を整流するための形状のことです。
一般的には車のサイドにフロントからリアにそってエアライン(一本の線)が搭載されています。
②アッパーボディー
アッパーボディーとは、一般的にクーペ(2ドア車)に採用されているデザインです。
一般的にはフロントから、リアに向かうにしたがい、絞り込んだような形状になっています。
空気抵抗が少ない流線型のデザインになります。
ホンダヴェゼルは「ロアボディー」と「アッパーボディー」という2つの異なるボディーデザインが融合されていることで、SUVの力強さとクーペのスタイリッシュさをクロスオーバーさせた車として誕生しました。
ホンダヴェゼル誕生の経緯
ホンダヴェゼルは、2013年12月に3代目フィットをベースモデルに開発されたコンパクトSUVです。
実は日本におけるSUVは、バブル期前後に三菱の「パジェロ」、トヨタの「RAV-4」、ホンダの「CR-V」などが一時期人気を博していました。
ところがバブル景気のレジャーブームが終わると、同時にSUVブームも終わりを迎えます。
実はこの時代の日本人がSUVに持っていた認識は「オフロード車」としてでした。そのため普段乗りの車としては当時は現在とは全く異なり見向きもされませんでした。
ところがそんな中、欧州プレミアムブランドメーカーから、続々とSUV車が日本に上陸するようになります。
欧州プレミアムブランドメーカーの発売したSUV車のセール方法は「オフロード車」としてではなく「ファッショナブルな普段使いの車」としてでした。
欧州プレミアムブランドメーカーの発売したSUV車を見た日産は、早速「ジューク」を市場に投入します。
実は現在のコンパクトSUVの火付け役となったのは、2010年6月に発売した日産ジュークです。
「ジューク」が日本市場のユーザの評価が予想以上の高評価があると確信したホンダは、当時超人気車種であったフィットのプラットフォームを利用して、コンパクトSUV車を開発します。
そのコンパクトSUV車こそ、ホンダヴェゼルでした。
ホンダヴェゼルは、超人気車種フィットのポテンシャルと欧州プレミアムブランドメーカーのSUV車の持つスタイリッシュなデザインを採用したことで発売当初から大ヒットします。
また価格が安く、販売好調であることが幸いして改善策を次々に打つ出せたことで、発売から6年間もの長期にわたり現在までロングセラーを続けています。
ホンダヴェゼルのパワートレインの特徴
ホンダヴェゼルのパワートレインの特徴は基本的には「フィット」と共通です。
こちらではホンダヴェゼルのパワートレインの4つの特徴についてわかりやすくご紹介します。
①ホンダヴェゼルのパワートレインの種類
・ガソリン車 → 1.5L直列4気筒ガソリンエンジン+CVT(無段変速オートマチック)
・ハイブリッド車 → 1.5L直列4気筒ガソリンエンジン+モーター+7速DCT
の2種類が基本のパワートレインです。
②共用の「1.5L直列4気筒ガソリンエンジン」の特徴
共用の「1.5L直列4気筒ガソリンエンジン」は「EARTH DREAMS TECHNOLOGY(アース・ドリームス・テクノロジー)」のコンセプトで開発されたものです。
「1.5L直列4気筒ガソリンエンジン」の特徴はDOHC(高出力、高回転)、VTEC技術(低回転と高回転を両立した技術)をベースにVTC(ターボエンジン)を採用したものです。
また「1.5L直列4気筒ガソリンエンジン」は直噴技術を採用したことで、実質2.0Lエンジン並みの高出力が実現できました。
③CVT(無段変速オートマチック)の特徴
CVTを簡単にいうと「歯車を持たないオートマチックトランスミッション」のことです。
歯車の代わりに「プーリー」「球体」「円錐」などを組み合わせることで、回転数を変えていく仕組みのことです。
CVTは、一般的には安価な車、低排気量車などに使われています。
※プーリーとはタイミングベルトを回すときに使用する歯車や滑車のような回転系の部品のことです。
④7速DCT
7速DCTはヴィゼルに搭載されている「スポーツハイブリッドi-DCD」のことです。
簡単にいうと「エンジン」と「モーター」を「DCT(デュアルクラッチトランスミッション)」でつないだ技術に使われている物です。
特徴は7速のあるギヤのうち、常に奇数段とモーターが常時噛み合っています。
すると「モーターのみのEV走行」「モーターとエンジンを同時に作動」を行うことができます。
ホンダヴェゼルのインテリアの特徴
ホンダヴェゼルのインテリアの特徴はベース車であるフィット譲りのコンセプトが導入されています。
「室内の広さ(室内容量)」「センタータンクレイアウト」「多彩なシートアレンジ」の3つが大きな特徴です。
①室内の広さ(室内容量)
室内の広さは、ホンダが圧倒的に得意な分野です。ヴェゼルでもわかりやすいくらい広い室内容量を実現しています。
比較例として同じコンパクトSUV車で比較してみるとヴェゼル393L、トヨタC-HR318L、日産ジューク251Lと圧倒的にヴェゼルの大勝です。
②センタータンクレイアウト
センタータンクレイアウトとはホンダ独自の構造技術です。
特徴は燃料タンクを、前席の床下に配置した室内構造技術のことです。
これにより荷室の床を低くして、より広い室内空間を実現することが可能になりました。
「N-BOX」や「フィット」などのホンダの売れ筋車種には全て採用されています。
③多彩なシートアレンジ
ヴェゼルには大きく次の4つのシートアレンジがあります。
「ノーマル・モード」「ユーティリティ・モード」「トール・モード」「ロング・モード」などです。乗員の数、シーン、荷物などによってシートが形を変えてくれ、乗車拒否をしません。
ホンダヴェゼルのサイズ・スペック
こちらではホンダヴェゼルの2013年12月式「Sグレード」のサイズ・スペックについてご紹介します。
全長×全幅×全高 |
4295×1770×1605mm |
車両重量(kg) |
1210kg |
室内長×室内幅×室内高 |
1930×1485×1265mm |
最高出力 |
131ps(96kW)/6600rpm |
最大トルク |
15.8kg・m(155N・m)/4600rpm |
最小回転半径 |
5.3m |
ヴェゼルのマイナーチェンジのポイント
2018年2月にホンダヴェゼルはマイナーチェンジモデルを発売しました。
こちらでは特徴的なマイナーチェンジのポイントについてご紹介します。
主なポイントは次の4つです。
①エクステリア・インテリアの変更
②全モデルへのホンダセンシングの標準装備
③ハイブリッドモデルの性能の向上
④4WDシステムの雪道でのコントロールの向上
ホンダヴェゼルのライバル車
ホンダヴェゼルのライバル車は、同じコンパクトSUVのトヨタC-HR、日産ジューク、マツダCX-3の3モデルです。
先輩後輩順にならべると、日産ジューク、ホンダヴェゼル、マツダCX-3、トヨタC-HRとなります。
ところで現在ホンダヴェゼルと激闘を繰り広げているのはトヨタC-HRです。
トヨタC-HRは、2016年12月に新しく発売されたことからやや勢いがあります。
ただしホンダヴェゼルもここ数年のうちにフルモデルチェンジを果たすといわれており、両車両の激闘はさらに加熱するものと思われます。