独・アウディ社が、2017年1月のデトロイトモーターショーにてアウディ・Q8コンセプトを、そして同3月のジュネーブモーターショーにてQ8スポーツコンセプトを公開しました。このQ8は、現行のQ7よりもさらに上級モデルで、アウディのSUV車の最上級モデルとなります。
SUV市場は世界的に見ても年々販売台数が増え続けており、「流行りはSUV」と言ってもいいぐらい各社から続々と新型SUVが登場しています。そんなSUV戦国時代において、アウディQ8は新たな起爆剤となり、SUVの覇者となれるのでしょうか。今回は1月に公開された「Q8コンセプト」と、3月に公開された「Q8スポーツコンセプト」について紹介したいと思います。
クーペとSUVを融合した最上位モデルQ8コンセプト
今年1月、米・デトロイトで開かれたデトロイトモーターショーで、アウディが「Q8コンセプト」を初公開しました。これは同社の現行SUVモデルであるQ7のさらに上位モデルで、最上位のSUVという立ち位置となります。
デザインは、Q7とほぼ同じボディサイズを保ちつつ、クーペのようなスタイルを合わせたSUVクーペで、内装も、シンプルな上にラグジュアリー感は損なわず、まさに高級車といったインテリアになっています。ライバル車であるベンツ・GLEやBMW・V6を強く意識したモデルであることは間違いありません。
注目すべきはパワープラントで、Q8はPHV(プラグイン・ハイブリット)を採用。出力は449hp、最大トルクは71.4kgmを誇り、100kmまでの加速は5.4秒を記録しています。さらに最高時速は250km/hを記録。エアスプリングサスペンションとセラミック製ブレーキディスクを採用していて、走りへの強いこだわりが見えます。その他ディーゼルエンジン、ガソリン車、ハイブリッドモデル、が発売されるという情報がありますが、現在のところPHV以外のアナウンスはありません。
さらにスポーティなモデル・Q8スポーツコンセプト
このQ8コンセプトをさらにスポーティに発展させたのが、「Q8スポーツコンセプト」です。
その外装は、大型SUVのダイナミックさを損なわず、それでいてスポーティです。また、今までの最上級モデルのQ7と比べて、車高がかなり低く、そのことがさらに迫力を増しています。
インテリアに関しては、パステルシルバーを基調にした落ち着いたデザイン。ファインナッパレザーとヌバックレザーを採用しています。一昔前、レザーと言えば高級車かオプションでしたが、それが今やSUVでも標準となっています。さらに、モニターはスイッチオフ時に、パネルの中に溶け込むように設計されていて、他の内装とも調和します。
内装に関して特筆すべきは、ラゲージスペースに630Lもの容量を確保していて大型スーツケースなども積載可能な点です。そのラゲージスペースの広さから、4人乗りになっています。
マイルドハイブリットで、大型ながらも効率的な燃費性能を実現
Q8スポーツコンセプトの車体は
全長・5.02m
全幅・2.05m
ホイールベース・3m
と、Q8コンセプトとサイズ自体はほとんど変わりありません。今回の発表で着目すべきは、Q8コンセプトのPHVに代わって、新開発の「マイルドハイブリットシステム」が採用されたところでしょう。
このパワープラントは、3リッターV6ツインターボとマイルドハイブリッドを組み合わせていて、476hp、最大トルク700Nmの出力を誇ります。エンジンに加え2基ターボチャージャーと電動コンプレッサーを搭載。ターボが苦手とする、低回転域での過給を電動コンプレッサーが行うことにより、低回転での強力なパワーの実現が可能です。
また、荷室の下に出力20kw/170NWのリチウムイオンを搭載。このリチウムイオンバッテリーにより、渋滞中や駐車の際に、エンジンを停止したまま運転が可能となりました。
さらに3リッターV6ツインターボエンジンによって、0~100kmまでの加速は4.7秒を記録。高級車と遜色ない走りを見せながら、4気筒並みの燃費性能を実現し、100km走行あたりの燃費消費を1Lの削減に成功しています。
スポーツコンセプトは85Lの燃料タンクを搭載しているのですが、航続可能距離はなんと1200kmとなっています。
「走れる、かつ大型で燃費の面からも環境にやさしい」と、アウディの今後の方向性が前面に出たフルサイズSUVと言ってふさわしいスペックでしょう。
気になる価格や発売日は?
アウディが自信を持って、「最上級SUV」として発表したことから、ライバルであるメルセデス・ベンツのSUVと真っ向勝負が予想されます。
価格もQ7よりさらに上となると日本円で900万円ほどではないかと予想されており、スポーツコンセプトはさらに高くなると思われます。
気になる発売日ですが、2018年にはコンセプトモデルを含めて販売開始とアナウンスされています。日本での発売は、道路が狭いなどの要因から大型SUVというジャンル自体が国内であまり受け入れられていないという側面があり、発売未定です。しかし、Q7が2016年日本に上陸したことから考えても、いずれ日本でQ8の姿が見られるかもしれません。
ダイナミックでありながら、ラグジュアリー感を失っていないQ8。ラグジュアリーなSUVは世界的トレンドで、数多くあります。このQ8が他と比べて勝っている点はそのスポーティさではないでしょうか。
世界的なSUV人気から、SUV戦国時代ともいえる現在。Q8コンセプトならびに、Q8スポーツコンセプトは業界に風穴を空ける存在となるのでしょうか。
【関連項目】
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